「社員の可能性を見抜けない」あなたの会社の“無能人事”の哀しみ 人事は長期的に物事を見なくてはいけないのだが
これまで1万人超の採用・昇降格面接、管理職・階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席し、アドバイスを行ってきた人事コンサルタント・西尾太氏による連載「社員成長の決め手は、人事が9割」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。 「休まなすぎ上司」と「休みすぎ部下」に必要な視点、休暇制度が整っていても「休めない」人がいる 組織づくりに携われるスケールの大きな仕事 人事というのは、組織づくりに携われるスケールの大きな仕事です。組織づくりは大きな会社では主に経営企画部門の仕事ですが、社内の人の流れをつかさどるのは人事です。
採用・入社・配属(働く部署と仕事を決める)、異動(部署や仕事の変更など)・任免(責任あるポジションに任命する、あるいは外す)・休職(一定期間労務の提供を免除する)・復職(休職後に仕事に復帰する)、退職(会社を辞める)といった、社員の入社から退職までの流れ(人材フロー)をつかさどります。 「つかさどる」というのは、これらの人材フローの決定を必ずしも人事部門が行うわけではなく、「仕切る」ことを意味しています。いつまでにどのような決定をしなければならないかを決め、その期日に向かって、決定権者に決めてもらうよう働きかけることです。その意思決定のために必要な情報を提供し、その決定によるほかへの影響も伝えます。
たとえば、誰かが異動すれば、その補充人員を別の部署から持ってこなければならないかもしれません。誰かの採用を決定すれば、ほかの誰かを採用できないかもしれません。誰かの職位を外せば、モチベーションを下げ、周囲に悪影響をおよぼすかもしれません。そうしたリスクも踏まえた上で、人事異動案を策定し、決定者に決めてもらうのです。 決定権者とは、対象者の「人事権」を持つ人です。通常、人事権は直属の上司にあるとされていますが、その上司の人事権はそのまた上司にあるわけで、人事担当者が働き掛けるのは、本部長や部長といった人たちになります。あるいは最高位の人事権者は経営者ですから、経営者とのやりとりも必要です。誰がどのように「人事(採用や配置異動・任免など)」を決定するのかも、あらかじめ決めておかなければいけません。