岸和田駅前通商店街を歩いていると、ある店の前で、だんじりの置き物が目に入った。いや、違う。よく見たら紙でできたものだった。「これは『だんじりティッシュボックスカバーですわ』」と、この店の従業員、谷本操さん（43）が教えてくれた。

だんじりグッズいっぱい、けどここはスポーツ店でした

[写真]店内はエアークッション足袋がズラリ。下は足袋売り場の拡大写真＝岸和田市五軒屋町

　「これね、切り取ったらできるんですけど、作るのに45分かかりましたよ。まあ、1時間くらい考えて組み立てていただいたら。アハハハハ」と谷本さんは、笑いながら話す。うん、たしかに、そう簡単には出来なさそうだ。 　このほかにも「だんじりマフィン」「だんじりビスケット」。ここ岸和田を舞台に撮影が行われたNHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」のグッズがたくさん並んでいる。 　祭一色のこの店だが、実は「スポーツショップ　ロブ」（同市五軒屋町）という地元に親しまれているスポーツ店。たしかに、店の中を見たらスポーツ用品でいっぱいだ。なんでも、祭期間だけ、店先でこのようなグッズを販売しているとか。そういえば、同商店街では、レコード店がグッズを売っていたり、いろんな店がグッズを売るなどする光景がみられる。 　さて、この店内では、だんじり関係者には欠かせない「エアークッション足袋」も販売されている。この足袋、岸和田のスポーツ店が集まって考えたものだそうで、谷本さんは「エアーの部分なんか見えないんですよ、ええでしょ」と話す。

地元に愛されるだんじり特集本「サザンプレス」

[写真]岸和田駅前通商店街サザンプレスの表紙

　帰り際「これうちの社長がかかわってるんです。良かったら見て」と「サザンプレス」という本をみせてくれた。この本の編集委員会「委員長」として同店店主の江豊治さんの名前があった。 　年に1回の発行で、本には「vol.32」と書かれ、各町のだんじりの解説や写真はもちろん、彫刻、商店街についてなど詳しく書かれている。また、本の終わりに「新たな歴史を刻む33号に向けて、『岸和田祭りのココが知りたい！』『こんな特集を組んで欲しい!!』そんな希望をぜひ、ご連絡ください」とも書かれていた。 　複数の岸和田市民にこの本のことを話すと「あれはようできた本やろ。だんじりのことよう載ってんねん」「俺も持ってるわ」「昔、俺の親父がどっかに載ってた」という反応が返ってくる。 　なるほど、それだけ、だんじりを愛する市民に「愛された」本なんだな。ということは、今年の様子は33号に載るということに？　 　次はどのような光景がこの本に刻まれるのだろうか。