宮藤官九郎、“不適切”なテーマをコメディにすることは「怒られるんだろうなって思いながら」
■かつて「もっとグローバル」だった歌舞伎町の“今”に思うこと
歌舞伎町をテーマにしたドラマを制作するにあたり、「まるで僕のために用意されたようなワクワクする設定」と公式コメントにて語っていた宮藤。しかし、自身が歌舞伎町と親密だった20代の頃とはずいぶん違う街になっているという。「昔、歌舞伎町に住んでいる友達が居て。新宿で芝居やって、その人の家に行って、飲みに行って。その頃、海外の方がたくさん働いていたんです。タイ人の方がやっているディスコがあって、そこでかかっている音楽がめちゃめちゃかっこよくて。テープを買ってバンドで演奏したことがあります。タイの曲、何歌ってるか分かんない(笑)。歌詞も耳コピで、こう歌ってんじゃないかって。20代の時にみんなタイ人っていう設定でバンドをやったことあります。グループ魂をやる前、阿部(サダヲ)君も一緒でした」。 「タイ人のディスコとコロンビア人のディスコと韓国人の飲み屋と台湾人の飲み屋を1日ではしごして、昨日まで働いてた人が強制送還されて居ないとか……90年代ですけどね。あの頃は今みたいにホストも居なかったし、キャバクラもそんなになかったんじゃないかな。もっと“外国人の街”ってイメージでした」と、今以上に“グローバル”だった当時の歌舞伎町の思い出を語ってくれた宮藤。「“発散する場所”でしたね、みんなでワーって。怖い目にもいっぱい遇ったし、ぼったくられたこともあるし……なんか嫌なこと思い出してきました、ぜんぜんワクワクしない(笑)」と、少々辛い思い出もあったようだが、当時と比べると現在の歌舞伎町は「一見、健全で安全な街に見える」と語る。「だから若い人が『歌舞伎町に居たら友達ができるかも』って集まってきて、逆に治安が悪くなっているのはあるかもしれません」。 90年代の歌舞伎町で過ごした宮藤官九郎は“今”の歌舞伎町をどう描いていくのか。歌舞伎町で生きる人々のリアルが見えてくることを期待せずにはいられない。(取材・文:小島萌寧) ドラマ『新宿野戦病院』は、フジテレビ系にて7月3日より毎週水曜22時放送(初回15分拡大)。