【インタビュー】オリックス・山下舜平大 来季につなぐ、たぎる思い「悔しさも収穫もあったシーズン。だから──」
自然と広がった視野
オリックス・山下舜平大[2024年=4年目/22歳]
掲げた来季の目標『16勝』からも負けん気がにじみ出る。開幕投手で一軍デビューを果たした今季。最速160キロを計測した剛速球とフォーク、カーブの3球種のみで、9つの白星を挙げて防御率は1点台をマーク。スケールの大きな若き右腕が台頭した。8月に腰痛を発症してCS、日本シリーズは登板なしも、「収穫はたくさんあった」と来季につながる経験を聞けば期待はさらに大きくふくらむばかりだ。 取材・構成=鶴田成秀 写真=早浪章弘 結果以前に一軍を経験した意味が大きかったのは、投球への考えからにじみ出る。故障離脱で悔しさも味わった一軍デビューイヤーだが、そんな苦い思いも来季への活力。最速160キロのストレートが魅力の右腕は、まだまだ進化の途中だ。 ──一軍デビューイヤーとなった今季は、どんなシーズンと振り返りますか。 山下 最後は投げられず、優勝を決めたときも日本シリーズも一軍にいられなかったので悔しさがありました。でも、収穫もたくさんあったので、いろんな経験を積めた1年だったと思います。 ──得た収獲の中でも来季につながっていく大きなものはなんでしょう。 山下 一番ベースとしている真っすぐが、あれだけの割合で試合で使うことができたこと。それが一番です。防御率も1点台で、先発として試合をつくることもできたのは純粋に良かったなって。防御率の数字にこだわってやれたのて。 ──防御率に“こだわって”ですか。 山下 基準があったわけじゃないですし、『この数字を残す』という明確なものがあるわけではなかったんですが、一番大事にしているのが防御率。試合を重ねていく中で、より良く、より良い数字にしていくという感じのこだわりで。今年は1点台(1.61)という部分では、良い数字だったのかなって思うんです。 ──好投の連続が防御率に直結したわけですが、『あれだけ使えた』と言う真っすぐの割合は全投球の約6割。もっと変化球に頼ると思っていたのでしょうか。 山下 そうなんです。もっと真っすぐをはじかれるんじゃないかと思っていたので。ファームで投げていたときも、もっと変化球の精度を上げないといけないと思っていたほど、真っすぐだけではダメだと思っていましたから。割合の数字を見ても、真っすぐを中心にして勝負できたのは想像以上。一番こだわっている真っすぐを初球、カウント球、勝負球で使え、ランナーがいる・いないなど、いろんな場面で使えたのが一番の収穫なんです。 ──首を振ることも少なく、直球のサインが出れば「よし」と思っていたのでは。 山下 そこは冷静さを忘れないようにしていましたけど、あらためて今年1年、いろんな反省をする中で森(森友哉)さんをはじめ、キャッチャーの方に僕の多くはない球種をうまく使ってもらったなと思います。だから、成長したというよりも成長させてもらえたなって。他球種との組み合わせやコース・高低など、配球も速球をより速く見せるために必要なこと。自分だけの力ではないと思うので。 ──そんな投球の組み立ての話を。ストライクは『空振り』『見逃し』『ファウル』の3つ。真っすぐが通用したと思えたのは、どのストライクの取り方からですか。 山下 ファウルです。僕と対戦するとき、絶対に変化球を待たないじゃないですか。真っすぐを待たれている中でファウルを取れるっていうことは、真っすぐが良いし、バッターの想定を上回っていることだと思うんです。なので、空振りとか見逃しのストライクより、ファウルのほうが自分の真っすぐを測りやすい。もちろん、バッターが・・・
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週刊ベースボール