タテヨコ企画がひきこもり題材にした“社会派エンタメ”「繭の家」
「タテヨコ企画 第45回公演『繭の家』」が、3月27日から31日まで東京・シアター風姿花伝で上演される。 タテヨコ企画は、1999年に劇作・演出・舞台美術家の横田修と、俳優の舘智子が結成した劇団。今回は青木柳葉魚が作・演出を担い、ひきこもりをテーマにした“社会派エンタメ”を立ち上げる。 S市役所生活福祉課の一ノ瀬瑠佳は、ひきこもり支援業務を課せられた。一方、フリーライターの福井薫子は、長期ひきこもりの支援活動のため、日々当事者の家庭を訪れていた。研修で行動を共にすることになった2人が訪れた先には、“繭の家”があり……。 出演者には、タテヨコ企画のあさ朝子、舘、西山竜一、久行志乃ぶ、ミレナに加え、坂本容志枝、椎名茸ノ介、谷口継夏、林竜三、森啓一朗、リサリーサが名を連ねた。 ■ 青木柳葉魚コメント 20年くらい前の話になるが、僕は一日中家から出ない生活を1年くらい続けたことがある。演劇の稽古には参加していたので、現在の引きこもりの定義によれば、趣味などの集まりには参加している「準ひきこもり」というくくりになるようだ。 その状態になる前は週6・7日のペースで働いていたのだが、当然、その状態を長く続けられるはずもなく、疲れ果ててしまい辞めたのだった。最初はそれほど休むつもりはなかった。しかし、今日こそ働き口を見つけよう、今日こそは今日こそはと思うものの結局何もできず、時間だけがただ流れ、休みはどんどん長くなっていった。押し潰されるようなジリジリとした焦り、劣等感。それなのになぜか働かない自分。そのことにまた苛立ちを覚える。どうしてそのループから抜け出せないのか自分でも分からなかった。怠けていただけ。たしかに、僕の場合、そう言われてしまえばそうかもしれない。ただ、ひきこもり状態になる人々の皆がそうではない。何かに躓いてしまったり傷ついてしまったことが原因であれば、そう簡単に事の解決には至らないだろう。世の中で起こっていることは全て他人事ではない。ひきこもり状態になる理由は千差万別であり、自分はひきこもらない。なんてことは言えないし、家族がそういう状態になる可能性だってある。現在、ひきこもり人口は増加・高齢化の傾向にあり、今後さらに大きな社会問題になると予想されている。 しかし、その対処法は現在もまだ確立されていない。 ひきこもりを生み出す要因が社会の中にあるのなら、それを解決に向かわせる方策も社会の中にあるのかもしれない。当事者が、個々人が、家族がどうやって社会と接していけばいいのだろう? そんなことを考えつつ、20年前の自分と対話しながら今回は創作している。 ■ タテヨコ企画 第45回公演「繭の家」 2024年3月27日(水)~2024年3月31日(日) 東京都 シアター風姿花伝 □ スタッフ 作・演出:青木柳葉魚 □ 出演 あさ朝子 / 舘智子 / 西山竜一 / 久行志乃ぶ / ミレナ / 坂本容志枝 / 椎名茸ノ介 / 谷口継夏 / 林竜三 / 森啓一朗 / リサリーサ