冨永愛が「もっとも尊敬する」と公言するトップモデル・山口小夜子の少女時代
ファッションの街・パリでコレクション・モデルとしてデビューし、一シーズンに十数件のショーを掛け持ちするなど、文字通りのトップモデルとして活躍した山口小夜子。 【写真で見る】「いつも寝ていたい」トップモデル・山口小夜子が語るコンプレックス モデル・俳優の冨永愛は、もっとも尊敬する存在と公言する。マツコ・デラックスは美の化身と絶賛。 亡くなって15年以上が経つが、いまも多くの女性がそのファッションやメイクに憧れ、模倣する。東京都現代美術館の「山口小夜子 未来を着る人」展覧会(2015年)には5万6000人もの人が来場した。 山口小夜子は、印象的な言葉を数多く残した人でもあった。 生前に残した多くのインタビューを再編集した新刊『この三日月の夜に』から、圧倒的に美しい写真と「天につながる」言葉を抜粋して紹介する。 ロマンチックな少女の夢の世界に ひたっていた 中学生のころですね。寺山〔修司〕さんの詩をいつも教科書の下に隠して。教科書をこう立てて、いっつも読んでたんですよね、寺山修司の少女詩集の詩を。 その詩集は、いわゆる「アンダーグラウンド」と言われている寺山さんのイメージとまたちょっと違うんです。ロマンチックな少女の夢の世界ですね。 アサヒグラフ 2000年9月29日号 私にとってはつまらないお芝居なんて、 ひとつもない 映画やお芝居や本を見て、私はいつも何かに感動してなくちゃダメなの。私にとってはつまらないお芝居なんて、ひとつもないし、嫌いな人なんていうのもいないのね。合わない人はいても、それは、それぞれ生き方が違うだけで、誰でもどこか感動させられるところがあるのじゃないかしら。 MORE 1979年11月号 森進一さんも とてもいい 音楽は何でも好き。ロックも大好きだし、森進一さんもとてもいい。今、三波豊和さんが可愛いなあ……。 ヤングレディ 1977年4月12日号 あなたは煙になって ビンの中に入ってゆく 高校時代に寺山修司さんのフォアレディース・シリーズという少女向けのエッセイ集を読んでいて、憧れの人でもありました。舞台がはじまる前一か月間のトレーニング期間があり、そこで私は本職の役者さんたちにまじって舞台に立つための訓練を受けました。瞑想をしたり、体を整えるための準備体操や活元運動をしたり、テーマに合わせて体を動かす練習をしたりしました。 たとえば寺山さんが「あなたは煙になってビンの中に入ってゆく。気がついたらビンの中にいた。そこからまた煙になって出てゆく、―という動きをやりなさい」などと言います。課題を与えられたらそれをすぐにその場で、体を動かして表現しなければなりません。 それは私にとってははじめての経験でした。 小夜子の魅力学 1983年3月13日 お城なの。 お城に稽古場があるの。 忘れられない素敵な思い出なんだけど、お城なの。お城に稽古場があるの。そこで稽古をしていて、泊まるところもそこで、エクサン・プロバンスのお城。そこのお城の持ち主がダンスを好きでスタジオを持っている。そこで「石の花」という作品の世界初演の発表直前で、毎日朝から夜中まで、ずっと稽古をしていました。 いま思うと、私はあの時期に勅使川原〔三郎〕さんと出会えてよかったの。その時に見た空の星とか。毎日稽古できついし、まだ作品ができていないから、とにかくそこで作品をつくらなきゃいけなくって大変だったんだけど。満天の星が輝いていて、その星空の下で、一瞬の時間を草の上でみんな寝ころがってごろごろごろごろしながら、きゃっきゃっしたこととか、それが宝物のような美しさで残ってる。 アサヒグラフ 2000年9月29日号 おすすめ記事<「いつも寝ていたいし何もしたくない」トップモデル・山口小夜子が語るコンプレックス>
山口 小夜子(モデル)