いつぶり? 真逆? 校閲記者も迷う日本語表現これは使っていい「ことば」なの?
「真逆(まぎゃく)」使いますか?
[質問] よく見かける一方で嫌う人も多い、正反対を意味する「真逆(まぎゃく)」。使いますか? [回答] 使う。定着した……44.4% 使うが、定着したとは言えない……11.3% 使わないが、定着はした……33.1% 使わない。定着したとは言えない……11.1% (86ページより) 「真逆」を「使う」と言う人は55%と半数をやや上回る程度だったものの、「定着した」と答える人は4分の3を超えたといいます。 この「毎日言葉」のアンケートは回答者を無作為抽出して行う正式な世論調査とは性格が異なるようですが、とはいえ社会の傾向を一定程度反映してはいるため、正反対という意味で「真逆」を使うのはもはや一般化したと判断できそうだと著者。 「真逆」は2004年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされたことばで、その時点では新語扱い。2011年度の文化庁「国語に関する世論調査」では、「正反対のことを『真逆』という」ことが「ある」と答えた人が22.1%、「ない」人が77.4%。しかし20代以下ではすでに過半数を占めていたそうです。 本書で紹介されている今回のアンケートでは「使う」という人こそ5割強ですが、全体の4分の3超が「定着した」と認めています。そうした結果を受けて、「使わない人も認めるというところに、その定着が本物であることを感じます」と著者は記しています。 国語辞典での扱いも変化がうかがえます。2008年の6版で見出し語に「まぎゃく」を採用した三省堂国語辞典は、2014年の7版でも俗語としていましたが、2018年1月に出版された広辞苑7版では「全くの逆。正反対。『真逆のことを言う』」と、注記なしで普通に使われる言葉として掲載しています。岩波書店の辞典編集部の方に伺ったところ、「真逆」は「定着」したと認識しているとのことでした。(88ページより) しかしその一方、「真逆」に強い違和感を抱く人もいるもの(私もそのひとりです)。 ちなみに毎日新聞用語集では「口語体で一般化している俗語も安易に使うことはしない」とされており、現状では「真逆」を無条件で通すということにはなっていないそうです。 ただし今後、俗語であるともいわない辞書が増えるなら、新聞の態度も変わっていくことになるのかもしれません。(86ページより) このように、多くの方が気になっていたに違いない「ことばのモヤモヤ」が解消できるはず。気軽に読むことができ、多くのことを学べるおすすめの一冊です。 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 毎日新聞出版
印南敦史