全国で一軒だけの珍しい名字「東京」さんは大阪の商家だった⁉【姓氏研究家が解説】
珍しい名字:東京(とうきょう)
都道府県名と同じ名字は、北海道、京都、愛媛、沖縄を除く43種類が実在します。 というのも、北海道、愛媛、沖縄は戸籍制度ができて以降生まれた地名のため、名字になることはできませんでした。 また、京都は一般的には「京」「京師」と呼ばれていたことと、当時の都の名称を名乗ることは畏れ多かったのだと思います。なお、福岡県には「京都」と書いて「みやこ」と読む地名があり、ここをルーツとする「京都(みやこ)という名字はあります。そして、実在する43種類のうち、最も数が少ないのが「東京」です。 「東京」という名字は、東京ではなく大阪府にあります。東京家は江戸時代は代々の商家で、名字は「江戸」でした。明治になって戸籍に名字を登録する際に、当時の当主が「江戸が東京になったのだから、名字も江戸ではなく東京で登録しよう」ということで、名字を「東京」として登録したのです。 「江戸」という名字は全国にたくさんあったのですが、「東京」に変えて登録した家は他にはなかかったため、「東京」という名字は全国で1軒だけとなっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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