JA共済連、金利跳ねる局面で押し目買い-現在の水準も「悪くない」
(ブルームバーグ): 全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)は日本国債の投資戦略について、超長期債をALM(資産と負債を総合的に管理するリスク管理)に沿って安定的に取得していくことを基本としつつ、金利上昇局面では押し目買いを行う方針だ。現在の金利水準も悪くないと見ている。
小林生太資金運用企画部長は10日のインタビューで、日米とも金融政策への強い不透明感から金利のボラティリティーが高い状態が続いているとし、「金利が跳ね上がるような局面があれば押し目買いをしていく」と述べた。
小林氏は、10年債利回りが5月30日に1.1%と2011年7月以来、約13年ぶりの水準に上昇したのは「ややオーバーシュート気味だった」と指摘。米国や欧州が利下げ局面に入ることを考えると、国内金利が大きく上がる局面は多分なく、逆に米欧につれて下がっていくことも想定でき、現状の金利水準は「それほど悪くない」と語った。
10日の債券市場では、雇用統計を受けた米長期金利の上昇を背景に新発10年債利回りの終値が前週末比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.03%に上昇した。日本銀行の金融政策決定会合を前に早期の政策修正観測から神経質な展開が続いているが、会合後は材料出尽くしで投資家から押し目買いが入る可能性もある。
小林氏は、日銀の追加利上げは賃金の増加が確認できる「10月くらいにあるかもしれない」と予測し、7月は「早過ぎるのではないか」との認識だ。13、14日に開かれる日銀会合では国債買い入れ減額について動きがあるとみており、月間6兆円程度の買い入れから1兆円程度の減額にとどまれば、「市場は既に織り込み済みで、影響はあまりないのではないか」と読む。
JA共済連の総資産は23年9月末時点で57兆7542億円で、国債保有額は38兆3871億円とかんぽ生命や日本生命を上回る。生命保険会社と同様に超長期債が主な投資対象で、23年度の国債保有残高は前年度からほぼ横ばい、24年度は償還が多いため、残高はやや減少する計画だ。