「自分が積み重ねてきたものは変わらない」パラリンピック陸上女子円盤投げ《銀》鬼谷慶子選手インタビュー
パリの熱闘から1カ月。パラリンピック陸上女子円盤投げで銀メダルに輝いた鬼谷慶子選手にテレビ中継では決して知ることができない数々のエピソード、そして円盤投げの極意についてたっぷり聞かせていただきました。 収録のため高知さんさんテレビを訪れた鬼谷慶子選手。到着時から持ち前の笑顔がメダルのように輝いていました。 パリの決勝では2投目で15メートル78という記録を打ち出し銀メダルを獲得。 鍛治屋 明香アナウンサー: いざ銀メダルを獲得されてどんなお気持ちでした? 鬼谷選手: 自分の記録に対してすごく満足していて、自分の記録をさらに抜いてきた選手がいたとしても、その選手が強かったというだけなので本当に自分の記録に満足していた。 結果がどうであれ自分が積み重ねてきたものは変わらない。そしたらすごく試合をするのが楽しみになった。実際に試合で入場してきた時にすごく満足という風に思って、あとはもう投げるだけだと。 鍛治屋アナ: やるだけやったからもうあとはやるだけだと。 鬼谷選手: もうあとは投げるだけと。 そう語る鬼谷選手。1投目から当時の自己記録を更新。普段は見せることのない大きなリアクションをしたといいます。 鬼谷選手: とてつもない大きいガッツポーズをしたと思います。あまりしない方なんですけど、1投目で記録が出た時に自分でも見たことのないガッツポーズをしていました。 こういう感じだと思います、漫画みたいな。 鍛治屋アナ: 大舞台で力を発揮するコツってあるんですか? 鬼谷選手: 私は昔からそんなに試合に強い方ではないと自分では思っているので入念な準備をするんですけど、その準備というのは練習とは別で試合会場に入る前から試合が終わって表彰式のところまでなどを10分、20分かけてイメージトレーニングをしていて、細かくどんな景色か、色や地面はどんな感じで、何が聞こえて、自分の感情はどうか、1投目記録がいくつ出たなど細かくイメージトレーニングをしています。 鍛治屋アナ: ちなみにきょうさんさんテレビで収録される前はイメージトレーニングされました? 鬼谷選手: すみません、してないです!経験の少ないものをイメージするのは難しいです。 鬼谷選手にとって慣れないスタジオでの収録が進む中、鍛治屋アナがあるものを取り出します。 鍛治屋アナ: こちらです! あまりなじみのない円盤投げという競技。重さは1キロ。この円盤をいかに遠くに飛ばせるか、その投げ方を教えてもらいました。 鬼谷選手: 持ち方としては指の先端からすぐのしわのところに引っかける。引っかけているだけで持ってはないんですね。最初持つときはこう(上に向けて)持たないと落ちるじゃないですか。でも振り始めるともう遠心力で絶対に落ちないので、手のひらを下にして振り始める。こういう向きで出ていきます。回転がこうじゃなくて外側に。 鍛治屋アナ: へぇ、不思議ですね。 パリでの実際の試合で円盤を投げる映像を確認すると…手のひらを下にして腕を振り始め、円盤は外側に回転していることが分かります。テレビ中継を見ているだけでは分からないことを丁寧に教えてもらいました。 鬼谷選手が何かに気づいたようです。 鬼谷選手: 学芸高校の円盤ですよね? 鍛治屋アナ: そうです!学芸高校からお借りしたんですが、これが鬼谷さんが学生時代に使っていた? 鬼谷選手: 投げていたんじゃないかな?もう1回見せてもらってもいいですか…多分そうですね。 鍛治屋アナ: 実使用! 鬼谷選手は大学生の頃に現在の病気を発症し2年前にパラの円盤投げを始めましたが、中学・高校でも円盤投げに打ち込んでいました。そんな高校時代の陸上部の先生からビデオメッセージが。 ~ビデオメッセージ~ 先生からのメッセージ 「こんにちは。井口です!」 「中平です!」 「鬼谷さん銀メダルおめでとう!」 質問(1) 井口先生 「病気とも闘いながら陸上をやっていると思いますが、今現在陸上は何のために、どんな目的でやられているんでしょうか?教えてください」 鬼谷選手: 最初は社会参加というか、病気になってから社会との接点というのがなくなっていたので、今は自分が競技しているところを見てくださった方が何かに挑戦しようかなと思う背中を少し後押しできたらいいなと思いながら競技をしています。 質問(2) 井口先生 「結婚いつしたのかな?私報告受けていないような気がするんですけど?どうなんでしょう?」 中平先生 「そうなんですか?自分は知っていました」 井口先生 「あれ?あれ?私報告受けていないような気がしますが?どうでしょうか、鬼谷さん」 鬼谷選手: 大変失礼しました(笑)2023年の10月のアジアパラの直前に結婚式をしていてメッセージをくださっていたので、その時に中平先生にご報告を。井口先生、大変失礼しました。 夫の健太さんと共に歩んできた鬼谷選手。健太さんの存在は欠かせないと言います。 鍛治屋アナ: 試合の際の健太さんの役割が気になったのですが、どういった役割をされていますか? 鬼谷選手: 生活介助、家とは違う環境なので少し介助量が増えたりする。そういう生活介助と競技用具の運搬、練習時のサポートも全部してもらう。私を車いすから投てき台に安全に移す。心強いですね。 鍛治屋アナ: 銀メダルを獲得された試合後はどんな会話をされましたか? 鬼谷選手: 僕は泣きそうだよみたいなことを言っていたと思います。 パートナーとともにつかんだパリでの銀メダル。鬼谷選手と健太さんの挑戦はまだまだ始まったばかりです。 鍛治屋アナ: 今回のパラリンピックでは銀メダルでしたが4年後のロサンゼルス大会ではどうですか? 鬼谷選手: ちょっとまだまだ全然分からないという感じなんですけど、続けられる限り頑張りたい。私が試合をしているのを見て少しでも明日頑張ろうかなみたいな感じで思ってくれたらすごくうれしい。
高知さんさんテレビ