真夜中の海から「助けて…」 警察官は制服姿のまま飛び込んだ 命を救った親子3人のとっさの判断
9月17日未明、海から「助けて…」。男性のかぼそい声が聞こえてきた。大分市大在の埠頭で釣りを楽しんでいた親子3人。会社員の菊池大介さん(50)と娘の菊池香々さん(20)、清末れあんさん(26)の耳に突然入ってきた。 【写真を見る】真夜中の海から「助けて…」 警察官は制服姿のまま飛び込んだ 命を救った親子3人のとっさの判断 ■上がったり沈んだり…一刻を争う状況に 菊池香々さん: 「誰かがふざけていると思って、かかわっちゃいけない気がして最初はびくびくして、山から聞こえているように感じた。ぼやけてわからなかったが次第に声の頻度が上がって、ただ事ではないと思って耳を澄ませると確かに『助けて』と聞こえたんです」 時刻は午前1時前、海で一体何が起きているのか把握できなかったが、異変を感じた娘の2人は迷わず110番通報した。 半信半疑だった菊池大介さんは、どこから声がしているのか現場を捜し始めた。そして親子で釣りをしていた場所から約100メートル離れた付近を歩いていると、だんだんと声が近くなり、海を見ると海中から「助けて」という声がした。 菊池大介さん: 「男性を見つけて焦ったし動揺しました。『大丈夫か』『我慢できるか』と声をかけ、まだ大丈夫そうな返答があったので娘に伝えようと慌てて戻った」 おぼれていたのは福岡県から来た60代の男性で、1人で釣りをしていたところ誤って転落。ライフジャケットは着ていなかったという。 通報を受けて現場に到着したのが大分東警察署の地域課に所属する廣石智博巡査部長(50)と岡部遥巡査長(25)の2人だった。 廣石巡査部長: 「現場に着いたら海中に男性が落ちていて、体力が弱って海面から下に上がったり沈んだりを繰り返し、一刻を争う状況だった」 ■連係プレー…暗闇の中の救出劇 真っ暗な海の中。つかまれると引きずり込まれる恐れもあったと脳裏によぎるも、廣石巡査部長は腰にある装備品を置き、制服姿のまま海に飛び込んだ。 その間、岡部巡査長と菊池さんが浮力のあるものを捜した。近くにあったロープ付きの浮き輪を菊池さんが見つけ、海の中にいる廣石巡査部長に投げ渡した。しかし、おぼれていた男性は体力がなくなり、浮き輪をつかめなかった。このため廣石巡査部長が浮き輪を持ち、男性を抱える。