【Playback箱根駅伝】第79回/駒大時代の到来!V2達成!出場枠が20に増加、関東学連選抜が初編成
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第79回箱根駅伝の総合成績&区間賞一覧をチェック!
第79回(2003年/平成15年)駒大が初の連覇!出場枠が20、関東学連選抜が初編成
全日本大学駅伝で連覇を達成した駒大と、出雲駅伝を制して全日本も2位に食い込んだ山梨学大が優勝候補に挙げられた。今大会から大幅にルール変更があり、出場枠が従来の15から「20」となり、うち1つはオープン参加として関東学連選抜が初編成。予選会で落選した大学から1校2名以内を基準として16名のメンバーが選出された(出走は1大学1名)。シード権も1つ増枠して上位10チームに与えられることになった。 出場枠が増えたことにより、前回出場校はすべて予選会を通過。東洋大が3年ぶり、中央学大が4年ぶり、拓大と國學院大が2年ぶりに予選会を通過して本戦出場を果たした。 1区は前年に続くスロースタートとなり、19km過ぎで抜け出した駒大の内田直将(3年)が区間賞を獲得。12秒差で神奈川大の下里和義(2年)、さらに3秒差で山梨学大の橋ノ口滝一(3年)と続き、そこから10秒以内に10校がなだれ込む大混戦となった。 2区では先頭の駒大・松下龍治(4年)に山梨学大のオンベチェ・モカンバ(2年)、日大の清水将也(4年)、中大の藤原正和(4年)が並び、4校による首位争いが展開された。15kmで清水が脱落すると、21kmでモカンバも遅れはじめ、最後の上り坂で藤原がスパート。中大勢として35年ぶりに戸塚中継所トップ通過を果たし、藤原は1年時の5区以来となる区間賞を獲得した。 出場校が20チームに増えたこと、1区が混戦だったことで、この区間では多くの“ごぼう抜き”が見られた。藤原が7人抜きで首位に躍り出ると、後方では順大の中川拓郎(4年)が史上最多となる15人抜きを達成して4位に浮上。そのほか、関東学院大の尾田賢典(4年)が12人抜き、中央学大の福山良祐(4年)が9人抜き、早大の森村哲(4年)が8人抜きと快走した。 3区では上位6校に順位変動が見られなかったものの、最下位(19位/関東学連選抜を入れれば20番手)でタスキを受けた國學院大の山岡雅義(3年)がチーム史上初となる区間賞の活躍で9人抜きを達成。予選会でチーム内12番手に沈んだ汚名を返上する快走だった。 続く4区。山梨学大のデビット・カリウキ(4年)が区間トップの走りで首位に立った。日大も藤井周一(3年)が区間2位の好走で5位から2位にジャンプアップし、3位・中大、4位・駒大、5位・東洋大という順で5区にタスキが渡った。 5区では駒大の田中宏樹(2年)が猛烈な勢いで2人を抜いて2位へ上がったが、トップを走る山梨学大・森本直人(1年)の背中は遠い。森本は区間4位と安定した走りで後続の追随を許さず、9年ぶりとなる往路優勝のテープを切った。 往路2位は1分39秒差で駒大。日大が10年ぶりの往路トップ3に入り、大東大が4位、ルーキー・中井祥太が驚異の区間新記録を樹立した東海大が5位でフィニッシュした。 18年ぶりに大雪の中でスタートした復路は、山梨学大が6区、7区と駒大との差を徐々に広げ、7区終了時点で1分53秒差までリードを拡大。このまま逃げ切りを図りたいところだったが、ここから駒大の驚異の追い上げが始まった。 駒大は8区の太田貴之(2年)が区間賞の走りで先頭との差を55秒詰めると、9区の島村清孝も区間トップの走りで先頭をいく山梨学大の清家健(4年)を逆転。一気に1分31秒のリードを奪った。 10区の北浦政史(3年)もとどめの区間新記録で後続との差を大きく広げ、駒大が悠々と2連覇のフィニッシュ。山梨学大は9区以降で区間12位、区間10位と沈んで2位。日大が11年ぶりの好成績となる3位に食い込み、往路12位だった中大は野村俊輔(2年)の6区区間賞などで5位まで順位を上げた。 今回から増枠されたシード権争いは最後の最後まで予測できない大混戦へ。9区終了時点で11位だった東洋大は岩田豪(4年)の5人抜きで6位までジャンプアップ。そこから9秒差で東海大、8秒差で順大、18秒差で日体大と続き、4年ぶり4回目の出場だった中央学大が最後の1枠をつかんで初のシード権獲得となった。9区時点で6位だった神奈川大は次々と順位を落とし、総合11位でまさかのシード陥落となった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部