92歳で現役の歌唱指導者 長野県塩尻市の岩垂昭平さん音楽に情熱
長野県松本市と北安曇郡松川村で歌謡教室を主宰する岩垂昭平さん(92)=塩尻市片丘南熊井=は今も現役の指導者だ。若い頃から大好きだった音楽への情熱を失わず、77歳でキングレコードから歌手・笹あきらとしてデビューも果たした。前向きな生き方は教え子たちの励みと目標にもなっている。 塩尻市などで20代から35年間、精密部品加工会社を営んだ。出身の松本市笹賀に平成3(1991)年、歌謡教室「SLC(昭平レッスンクラブ)アカデミー」を設立。67歳でキングレコードの認定指導者になり、歌手デビューは同社最年長記録だった。 平成21年に松川村でも教室を開く。茅野市などでも指導し、教えた生徒は100人を超える。「歌うことは健康長寿や認知症の予防にもつながる」とし、指導のモットーは「腹式呼吸」。松本の教室で長年習う秋山和江さん(75)=松本市今井=は「先生の前向きで、めげない姿勢に皆が励まされる」と話す。 中学生の時、人前で初めてアコーディオンを弾いた。東筑摩農業高校(現塩尻志学館高)に進むとクラシックギターを買い、専門家に学ぶため上京。戦後の食糧難で趣味どころでなく、独学で音楽を続けた。地元の仲間と「小俣ギタークラブ」を結成し、神社の祭典などで演奏した。 プロの下で作曲も学んだ。今も曲を付けてほしいと歌詞が各地から届くといい「時間ができたら、じっくり取り組む」つもりだ。 指導者として研さんも欠かせない。時代とともに変わる音楽を勉強するため新曲も聞く。「音楽は年齢に関係なく楽しめ、生きる力をくれる。一生続けたい」とほほ笑む。10月6日、松川村の教室発表会で、ステージに立つのが楽しみだ。
市民タイムス