NHK会長、スマイル社の被害補償担当発言に「違和感」 Nスペ放送
故ジャニー喜多川氏による性加害問題を取り上げたNHKスペシャルで、性加害の被害補償にあたるSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の補償本部長が被害を訴えていた男性の家族に「心の底からおわびができない」などと語った場面が放送されたことについて、NHKの稲葉延雄会長は20日の定例会見で「(発言に)違和感を覚えた」などと語った。 【写真】 NHK紅白歌合戦の初出場者、ステージの中央にいたのは 番組は10月20日放送の「ジャニー喜多川 〝アイドル帝国〟の実像」。番組では、喜多川氏からの被害を訴えていた男性の家族が、電話で本部長に謝罪を求めた際に、本部長が「誰が何を謝るんだというのが、ちょっといま分からなくて」「心の底からおわびができない」などと発言した様子を放送した。SNS上などでも批判が上がり、その後、スマイル社は本部長を解任したと発表していた。 発言について稲葉会長は会見で「補償担当者のやり取りに関しましては、率直に申し上げて、皆さんと大体同じような印象も持ちました。これは否定できないところだと思います」「皆さんが感じたような違和感を私自身も覚えました」などと語った。 一方で、稲葉会長は、この本部長が解任された点にも触れ、「その後会社として適切な処置がとられた」と説明。NHKは、スマイル社のマネジメント業務などを引き継いだ「STARTO(スタート) ENTERTAINMENT(エンターテイメント)」のタレントについて、番組の新規起用を再開する方針をNスペ放送の4日前に示していたが、「(本部長の発言で)情勢が逆回りするような懸念は一切ないと思った」「判断は間違いではなかった」と語った。 番組は「放送の日にテレビを見た」と語り、起用再開の方針の発表前には視聴していないことを強調。「NHKとしては、組織としてスタート社、スマイル社とやりとりをして被害者への補償や再発防止、経営の分離が進んでいることを確認できたと思ったので、出演依頼の再開を決めた」と説明した。 会見で、今年の紅白歌合戦でスタート社のタレント出場が発表されず、2年連続で旧ジャニーズの出演がゼロとなった点について問われると「出演交渉の詳細は必ずしも承知していないが、結果的に応じていただけなかったのは残念なことだった」と述べた。Nスペの放送内容が紅白の「出場ゼロ」に影響した点は否定した。(宮田裕介、滝沢文那)
朝日新聞社