「研究するならアメリカを学べ!」 ノーベル賞科学者・山中伸弥が、「寄付先進国」アメリカのカネ作りをまる裸に!
想像を絶する速度で進化を続けるAI。その存在は既存の価値観を破壊し、あらゆる分野に革命をもたらしている。人知を超えるその能力を前に、人類はどう立ち向かうべきなのか。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 それぞれの分野の最先端を歩む“ノーベル賞科学者”山中伸弥と“史上最強棋士”羽生善治が人間とAIの本質を探る『人間の未来AIの未来』(山中伸弥・羽生善治著)より抜粋して、新時代の道標となる知見をお届けする。 『人間の未来AIの未来』連載第29回 『ノーベル賞科学者が「マラソンで資金集め」⁉資金不足の研究者たちの、予想だにしないカネ集めの仕方とは? 』より続く
「寄付先進国」アメリカに学べ
羽生 大口の寄付をする人で、アメリカと日本とでは気質が違うと聞いたことがあります。アメリカの方だと自分の名前を出すけれども、日本の場合だと匿名にしてほしいという希望が多い、と。 山中 そういう方が多いですね。 羽生 その辺りの文化の違いをうまく取り入れて、参考にしながら協力してもらえるような体制ができるといいですね。 山中 アメリカには自分たちで財団を作って、何十億円、何百億円と寄付されているファミリーが本当にたくさんあるんです。それは日本では極めて例外的です。僕たちもたくさんの人の寄付で支えていただいていますが、日本は個人的な支援が多いですね。
「日本には努力が足りない」
羽生 最近はクラウドファンディングのような試みもなされています。 山中 僕たちもクラウドファンディングをやっています。マラソン大会に出て走っていると、まさに沿道で何十万人という方が見ておられますから。地道な努力がけっこう効きますね。アメリカでは研究機関の所長や医学部長は、仕事の半分くらいをファンドレイジングに費やしている印象を受けます。 羽生 仕事の半分ですか。 山中 そうしたファンドレイジングでどれくらい資金を集めてきたかが、彼らへの評価のかなりを占めますからね。だからアメリカでもそれぞれ努力しているんです。日本もやっぱり努力しないと、寄付は集まりません。