「仮埋葬するしかない」大規模災害への備え自治体に難題 遺体収納袋や火葬場が不足…死者の尊厳どう守る?
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、2万2000人を超える死者・行方不明者を出しました。当時、火葬場も被災したため、火葬が追いつかず、約2000体の遺体について土葬による仮埋葬が行われました。遺体は放置すると腐敗が進むため、死者の尊厳をどう守るのか――対策の構築が急務となっています。ただ南海トラフ巨大地震が最大規模で発生した場合、仮埋葬せざるを得ないと言う自治体も。現状を取材しました。 【写真を見る】「仮埋葬するしかない」大規模災害への備え自治体に難題 遺体収納袋や火葬場が不足…死者の尊厳どう守る? ■計画では10日以内に埋葬完了…現実的には困難 最悪の場合、死者が32万人に達すると想定されている南海トラフ巨大地震。このうち最大8745人が亡くなると想定されている大分県佐伯市では大きな課題を抱えています。市内にある防災備蓄倉庫。準備されている遺体の収納袋は500枚です。 佐伯市防災危機管理課 渡辺敦統括主幹: 「死者の人数が8000人になればとても足らない」 南海トラフ巨大地震で想定される大分県内の死者数は最大2万人。県の地域防災計画では災害の発生から10日以内に遺体の埋葬を完了させる方針ですが、現実的には難しい状況です。 県防災対策企画課 後藤恒爾課長: 「やはり2万人という数になると、とても難しい。他県の応援、そういったものも含めて計画は策定しております。ただかなり厳しい状況になろうかと思います」 ■火葬場が不足…遺体袋に入れて仮埋葬しかない 県歯科医師会の木村哲也専務理事は東日本大震災の時、1週間で31人の身元確認作業に従事。毎日運ばれてくる多数の遺体を遺族に引き渡すために安置所の重要性を訴えます。 県歯科医師会 木村哲也専務理事: 「東日本大震災では、はじめのうちは遺体が1日で1000体あがったと言われていて、遺体安置所の外側にはテントがたくさんあった。私がいたときもあったんですけど、そのテントの中でも遺体の収容や身元確認の作業をやっていた」 「安置所では医師が遺体の検案書を作成するために死因の特定をやります。それが終わったあとに歯科医が身元確認作業をやります。それが終わった遺体が移動し、棺桶で入っていくことになる。なるべく大きな安置所をかなりの数を用意し、いざとなればここを使うと決めておいた方がいい」