〔海外〕2024年5月の災害を振り返る
2024年5月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●5月 【自然災害】ブラジルで洪水 死者140人以上、200万人以上に影響か [被害]死者140人以上 行方不明者130人以上 2024年4月下旬から5月上旬にかけて、ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州を中心に豪雨による大規模な洪水が発生した。これまでの死者は140人以上、行方不明者130人以上、避難者60万人以上にのぼり、ブラジルでの水害としては過去最悪の被害となった。 リオグランデ・ド・スル州では、グアイバ湖や主要河川の氾濫により家屋が浸水したほか、土砂崩れなどにより各都市を結ぶ道路や橋が寸断された。洪水による被害は州内の500都市のうち3分の2以上に及ぶほか、水力発電所のダム決壊による大規模な停電や通信障害など、ライフラインへの影響も甚大で、被災者は200万人にのぼるとみられている。また、同州の州都ポルト・アレグレにある空港では滑走路や駐機場が冠水し、復旧には数週間かかるとみられている。 【自然災害】アフガニスタンで豪雨による洪水相次ぐ [被害]死者425人以上 負傷者1600人以上 2024年5月中旬、アフガニスタンの各地で豪雨による洪水が相次いだ。まず5月10日には北部のバグラーン州、タハール州、バダフシャーン州などで洪水が発生。特に被害が大きかったバグラーン州では315人が死亡、1600人以上が負傷した。 続いて5月16日から翌17日にかけての豪雨で、北部のファーリヤーブ州や中部のゴール州などでも洪水が発生し、少なくとも110人が死亡した。 アフガニスタンでは3月以降洪水による災害が続いており、タリバン政権は10日の洪水被害を受け、国連や人道機関などに救援を要請している。これに対し、日本政府は国際赤十字・赤新月社連盟から支援要請を受け、5月16日に国際協力機構(JICA)を通じて毛布やテントなどの緊急援助物資を提供することを発表した。 【自然災害】パプアニューギニア中部で大規模な地滑り [被害]死者6人以上 行方不明者650人以上 2024年5月24日03:00頃(日本時間同日04:00頃)、南太平洋にあるパプアニューギニア中部のエンガ州で大規模な地滑りが発生し、家屋150軒以上が土砂に巻き込まれた。地滑りに伴う土砂の深さは、6mから8mに及び、幹線道路の寸断による重機投入の遅れ、地域の部族間対立など様々な要因から捜索・救出活動は難航した。その後、パプアニューギニア政府は28日に再び土砂災害が発生する危険性があるとして、現場周囲で暮らす8000人に対し、避難を勧告した。6月5日、パプアニューギニア政府は捜索・救出活動を中止したことを発表した。 死者はこれまでに6人以上が確認されているが、国勢調査が前回行われたのが20年以上前の2000年のため、パプアニューギニア政府が地域に住む住民の数を把握できておらず、一時政府は2000人以上が土砂に埋まったという推定を発表した。国連専門機関は670人以上が巻き込まれたと推定しており、政府も650人以上が行方不明と推定人数を修正しているが、被害の全容についての情報は現在も錯綜している。
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