分身ロボット 寝たきりのその先へ “もう一つの体” で社会とつながる 難病ALSの元教師が特別支援学校の生徒たちに伝えたいこと
人が操るからこそ感じるどこかアナログ的なところが、オリヒメの魅力です。 分身ロボットカフェのお披露目式で、パイロットの代表として登場した長岡貴宣さん。 オリヒメパイロット 長岡貴宣 さん(60) 「私の病気はALSです。次第に全身の筋肉が動かなくなり、人工呼吸器をつけないと3年から5年で死に至るという難病です」(※かつての自分の声で作った音声で挨拶) 長岡さんも東京にあるカフェでパイロットをしています。今回、広島のカフェで長岡さんが実現したかったことー。それは、特別支援学校の生徒たちがオリヒメを遠隔操作する就労体験です。 オリヒメパイロット 長岡貴宣 さん 「ぜひ働く喜びや、人から必要とされているというワクワク感を味わってください」(※かつての自分の声で作った音声で挨拶) 長岡さんは広島県の北部、三次市で暮らしています。病名は「ALS」。全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病です。 長岡貴宣 さん 「これが私の声です」(※かつての自分の声で作った音声で回答) いまは声を出すことができない長岡さん。オリィ研究所が開発した目の動きで操作できるシステムを使い、失う前に残しておいた“自分の声”で読み上げて、コミュニケーションをとります。 長岡さんは高校の社会科の先生でした。ALSと診断されたのは7年前。病状は徐々に進行し、2017年12月に学校を休職。生きる気力を失いかけたといいます。 妻 長岡千代美 さん 「落ち込んで次にどうやっていきていこうか、と。教師の仕事を一生懸命やってきたので、教員なりたくてなった人なので」 休職した直後の2018年の卒業式に、転機はやってきます。生徒会が中心になってオリィ研究所に協力を求め、長岡さんはオリヒメを使って自宅から卒業式にリモート出席できたのです。 長岡さん 「生徒一人一人が退場するときにオリヒメに向かって一礼する姿を見て、もう一度教師を続けよう、復帰しようと思いました」 この一年後に高校を退職しましたが、長岡さんはオリヒメとの出会いで、少しずつ前を向きはじめたといいます。