１軍に合流して笑顔をみせる奥川。復活のマウンドに向けて思いを述べた（撮影・渋井君夫）

背番号１８が帰ってきた。ヤクルト・奥川恭伸投手（２３）が１０日、今シーズン初めて１軍に合流した。福岡市のみずほペイペイドームで行われた先発投手練習に参加し、長距離のダッシュなどで調整。１４日のオリックス戦（京セラ）で２０２２年３月２９日の巨人戦（神宮）以来、８０８日ぶりに１軍戦のマウンドに立つ。チームはリーグ最下位だが、直近７試合は６勝１敗で交流戦はリーグトップの３位。「恩返し」を胸に、奥川が勢いを加速させる。 【写真】〝シャツイン〟してトレーニングに臨むヤクルト・奥川恭伸「始めたのは最近です」 屈託のない笑顔が、ヤクルトを明るく照らす。奥川がシーズンでは今年初めて１軍に合流。あらゆる感情を抱えながらも、喜びをかみしめた。 「本当にすごく気分が上がっている。まだそんなに実感はないですけど、こんな風に動いていたなとか、そういうのを思い出しながら懐かしいなと思いました」 やっとたどり着いた舞台だ。２０２２年３月２９日の巨人戦（神宮）で右肘痛を発症。長いリハビリ生活を余儀なくされた。昨年４月１８日のイースタン・リーグ、ロッテ戦（戸田）で実戦復帰を果たしたが、同年７月の練習中には左足首を骨折。１軍復帰を果たせないままシーズンが終わった。今春のキャンプは１軍スタートも、終盤に腰痛を発症。度重なる故障が１軍への〝壁〟となってきただけに、喜びが大きい。 「すごく長かったので、ようやく（１軍に）合流できるということで、うれしい気持ちが最初に来ました」 多くの人への恩返しを胸に投げる。今季、イースタン・リーグでは６試合で２勝２敗、防御率３・５１。６日のオイシックス戦（戸田）では、３回⅔で４８球を投げ３安打２失点で降板しており、中７日で１４日のオリックス戦（京セラ）での先発が見込まれる。８０８日ぶりの１軍マウンド。どん底にいる自分を支え、助けてくれた人たちに雄姿を見せる。 「いろいろ助けてもらいましたし、支えてもらっていたので、いつかは絶対に恩返ししたいと思っていた。そのチャンスを今回もらえた。どういう内容になるかは分からないですけど、最後まで諦めずに思い切り腕を振りたい。それが恩返しかなと思う」 京セラドームといえば、２１年１１月２０日の日本シリーズ第１戦でオリックスと対戦した思い出の地。７回１失点と好投し、６回１失点で降板した山本由伸（現ドジャース）に投げ勝った（試合は３－４でサヨナラ負け）。日本一へ、チームに勢いを与えたマウンドから再出発を図る。