シンガーソングライター・TOMOOが振り返る「MTV Unplugged」というステージ「自分の音楽人生の中で忘れられない宝石みたいな時間だった」
TOMOOが出演する「MTV Unplugged Presents:TOMOO」が11月24日(日)にMTVで放送される。 【写真を見る】「MTV Unplugged」に出演したTOMOO TOMOOは2022年にメジャーデビューを果たすと、ライブやデジタルシングルのリリースなど、精力的な活動を展開。そして今年4月にリリースした「あわいに」はドラマ「ソロ活女子のススメ 4」のオープニングテーマに、さらに10月にリリースしたばかりの「エンドレス」もドラマ「全領域異常解決室」のエンディングテーマに起用されるなど、今注目の女性シンガーソングライターだ。 「MTV Unplugged」は、世界中のトップアーティストが出演し、独創的で個性あふれるアコースティックライブの源流として歴史を刻んできた伝統的なステージで、1989年にニューヨークで初めて実施されて以来、エリック・クラプトンやマライア・キャリー、ニルヴァーナ、オアシス、ケイティ・ペリー、トニー・ベネット&レディー・ガガ、BTSなど、100組を超えるアーティストが出演。日本制作においてもこれまでに、宇多田ヒカル、平井堅、KinKi Kids、幾田りら、緑黄色社会など、一流アーティストがいつものライブとは一味違うパフォーマンスを披露している。日本制作として通算50作目となる今回は、TOMOOが9月15日に大阪城音楽堂で開催した国内初となる野外会場での"じっくり、しっとり"とした特別なライブの模様を放送する。 今回、放送に当たってTOMOOにインタビューを敢行。ライブの感想やステージを作る上での裏話、ライブを通して改めて見つめた自分、ライブで意識していることなどを語ってもらった。 ――歴史のある「MTV Unplugged」に出演されたということに関してはいかがでしょうか? 「『MTV Unplugged』は遠い存在だと思っていて、こんなに早く自分がそのステージに立たせていただけるとは思っていなかったので、本当に光栄だなという気持ちが強かったです。そんな中で、改めて歴代の方々のパフォーマンス映像を拝見していると、『私が今音楽をやっているのは、ずっと前から音楽シーンの歴史を作ってきた方々の音楽を受け取って、(次世代へ)パスしていくパイプみたいなものだな』と思いました。そこで逆に気負う必要はないことに気付いて、等身大で向かおうという思いが強まってライブに向かいました」 ――特別編成で行ったライブの感想は? 「スペシャルな編成で、こちらも"じっくり、たっぷり"表現させてもらうし、それを"じっくり"受け取っていただけるという機会がこれまでなかなかなかったので、すごく嬉しかったですね。そして、『もう同じことはやらないかもしれない』と思っていたんですけど、終わったらすぐ『また、もう1回やりたいな』って思ったライブでした(笑)」 ――「もう1回やりたい」と思われたポイントは? 「普段のライブでもお客さんから熱が伝わってくるのですが、また種類の違った熱が伝わってきて嬉しかったということがひとつ。それと弦カルテット、木管、金管、鍵盤、アコギという変わった編成でありながらも、私が聴いてきたルーツとなる音楽も含めて、『意外と馴染み深い楽器たちだったな』というのを再認識して、そのかたちで表現した曲の在り方がすごくしっくりきてしまって、『この時だけなんてもったいないな』と感じているところです」 ――どのような経緯で今回の編成になったのですか? 「楽器編成の段階から(音楽監修の)小西遼さんに相談しました。『私の楽曲的に、弦楽器は要ると思うんですよ』というお話をさせていただいた上で、いつものバンドライブでも弦楽器や金管の方々も来ていただくことがあるのですが、それだけだとあまり変化がないので、『もっと違うことができないかな』と。そこで、最近、編曲で木管アレンジをやっていただいていたので、『それは面白いんじゃない?』となったんです。そして、『ベースとドラムはどうしよう?居たらいつものメンバーが全員集合みたいになっちゃうよね...』というところから、『リズムは誰が出すんだ』という話になり、『弦楽器だけでも出せるけど、あの曲とあの曲が...』みたいなことも考えて、『アコースティックギターで出せるよ』となって編成が決まりました」 ――楽曲のアレンジについては? 「基本的に(小西)遼さんにお任せしたのですが、お互いの共通認識として『原曲のパッションはあまり方向転換せずそのまま残して、リズム感、テンポ感をあまり大きく変えないで、各楽器のポテンシャルを生かす感じで拡張していこう』という感じで進めてもらいました」 ――「裏庭のようなライブ」と称していらっしゃいましたが、その真意を教えてください。 「最近、私の音楽性やイメージ像が結構開けたものになっていっているなと感じていて、(イメージ的には)広場とか、ちょっと開けた通りとか、公園とか。でも、元々は家の中でしか演奏していなくて、結構ひっそりとした静かな心持ちで音楽を作ってきた時間が長かったので、『どっちの側面も自分の音楽だな』と思っているんです。そんな中で、"ひっそり"とか"ちょっとしっとり"とかそういう空気感が『ちょっと多めになってもいい時間を作りたいな』という。6月、7月にやっていたツアーがかなり元気でパワフルだったので、その反動で『こっちもあるんです』と改めて提示したかったという思いもあったからですね(笑)。あとは、自分のルーツとして、10代の時とかのチャキチャキしていない音楽を主に聴いて作っていた時の自分の中に流れていた時間を、もう一度思い返して届けたいなという気持ちでした」 ――ツアータイトルが「Mirrors」ということで、今回のライブで改めて見えたご自身の姿はどのようなものでしたか? 「やっぱり自分は"ノスタルジー"とか"古いアルバムやノートを開くような情緒"が好きなんだなって思いました。あと、過去に書いた自分の曲のことを、そこに含まれている記憶とか当時の時間と共に、思っていた以上に愛していたんだなと感じました。 "自分の中で大事件が起きたから曲になる"というような音楽人生ではなく、些細なことを色とりどりの楽器で表現したことで、音としてはすごくドラマチックになったり、景色として豊かになったと思うんです。自分の中の豊かさではなく、世界に対して反応していたものとして作った曲が、今回の編成でよりプリズムのように『こんなに美しいものを見ていたのか』『こういうふうに自分は世界を反射してきたのか』ということに気付くことができました」 ――普段、ライブで意識していることは? 「透明な管になるイメージですね。力を込めても力は出ないというか、ある意味"自分が消えて、視界がクリアになる"みたいな。『曲の景色を表現しよう、表現しよう』と思うと、むしろどこかに行っちゃって、(感覚的に)スッてなった時に、勝手にお客さんの方角に景色が見えるんです。そのイメージを持ちたいなと思って、いつもステージに立っています」 ――番組をご覧になる方々、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。 「このライブは、自分の音楽人生の中で忘れられない宝石みたいな時間だったなと思っています。その場に来てくださった方も、そうでない方も、どちらにとっても、また違った"じっくり"音楽を受け取ってもらえる時間になると思います。放送では細かい演奏とかも見えると思いますし、さりげないけどすごく非日常なライブだったと思うので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」 文=原田健 撮影=皆藤健治 スタイリスト=Minoru Sugaharaヘアメイク=Chika Ueno
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