「築111年」寮費は月約2500円 最古の学生寮『京大・吉田寮』の立ち退きめぐる訴訟 裁判所は一部学生の継続居住を認める 歴史詰まった学生たちの居場所は守られた
築111年、“日本最古”と言われる京都大学「吉田寮」。 しかし、老朽化を理由に学生たちは退去を迫られ、訴えられたのです。 ■【動画で見る】「築111年」寮費は月約2500円 最古の学生寮『京大・吉田寮』の立ち退きめぐる訴訟 裁判所は一部学生の継続居住を認める 歴史詰まった学生たちの居場所は守られた この寮に住む学生たちの想いとは。
■“日本最古の学生寮”で過ごす寮生たち
寮のいたるところに、学生たちの歴史が染みついています。 【寮生】「鍵は大体押せば開きます。これ(扉)壊れてるんですけど、開けて外出られたりもするので。通気性が抜群で冬は寒いですけど」 京都大学・吉田キャンパスの一角にある「吉田寮」。 「現棟」と呼ばれる建物は、大正2年に造られ、現在築111年。“日本最古”と言われる学生寮です。 京都帝国大学の学生寄宿舎として始まった吉田寮。ノーベル物理学賞を受賞した赤崎 勇さんなど、多くの学者や文化人が過ごしてきました。 【寮生】「ちょっと汚いですけど、6畳で2人一緒に暮らしている形になります」 寮の費用は光熱費込みで、月2500円。 吉田寮には9年前に建てられた新棟もあり、現棟と合わせておよそ100人の学生が暮らしています。 【寮生】「(寮費が)年3万円って異常だよな」 「うちも受験するちょっと前に親が一回職失ったから(吉田寮は)本当に助かってる。負担かけないし、自分で払えるし」 「バイトだけでいけるからな」 「ご飯も寮生の間で一緒にやったり」 「晩ご飯余ったけど食べませんかみたいなね」
寮の運営は大学ではなく、これまでずっと寮生に委ねられた、いわゆる「自治寮」。決めごとは話し合いで、全会一致が基本です。 【寮生】「お互いの年齢や学年を気にせず、敬語を使わないという慣習があって。なぜかというと、話し合いをするにあたってお互いに対等じゃないと、話し合いってあんまり成立しないというか」 この吉田寮をめぐり、今、大学が学生を訴える“異例の裁判”が行われています。
■老朽化…大学は「代替宿舎」用意し退去要求
【京都大学 川添信介副学長(当時)】「学生の安全確保のため、これ以上問題を先送りできないとの判断に至り、本日やむなく明け渡しを求める提訴に踏み切った」 111年前に建てられた「現棟」は、専門家によると震度6強の地震で倒壊する恐れがあります。 1980年代、大学側は老朽化を理由に廃寮を計画。その後、学生との話し合いの末、一度は寮を残すことで合意しました。しかし2017年、大学は代替宿舎を用意して、再び学生たちに退去を要求したのです。 寮生たちは退去せず、今も新たな学生が入ってきています。大学側は「安全配慮義務」があるとして2019年、建物の明け渡しを求めて訴えを起こしました。 5年に及ぶ裁判。
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