「9月が終わったら、起こして」…グリーン・デイの名曲に隠された少年の悲しみとは? 『アメリカン・イディオット』収録の「9.11」テロを想起させる曲に隠された真実
単なる非戦・反戦の歌じゃなかった「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」
時代背景としてあったのは、「9.11テロ」をきっかけに、当時のブッシュ大統領が2003年に始めたイラク戦争だった。そのことによって動揺していたアメリカの現実が、アルバムの骨格となっていた。 マンネリ気味とも批評されたグリーン・デイの感動的な復活作であるばかりでなく、ロック史上に輝く名作となったパンク・オペラ『アメリカン・イディオット』。2005年のグラミー賞では「最優秀ロック・アルバム賞」を受賞した。 特にシングルヒットした「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」(Wake Me Up When September Ends)は、アルバムの11曲目に収められていることと、“9月”という単語が入っていることから、「9.11テロ」を想起させた。 物語仕立てのミュージック・ビデオでは、イラク戦争によって引き裂かれる恋人たちの姿が描かれていることから、非戦・反戦のメッセージとも共鳴してヒットした「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」。 実はこの曲は、「父の死から7年」「9月が終わる頃に起こして」など歌詞を聴けば分かるように、悲しみに覆われながらも、現実を直視しながら夢に向かって行動した、ビリー少年の心の内が込められていた。 ビリーはアルバムを出した時のインタビューで、「音楽によって何かが変えられると思う?」という質問に、こう答えている。 「その時起こっていることの、写真を撮るような意味合いはあるよね。だって音楽は音楽の歴史に残るよね? 歴史から学ぶのは、それを繰り返したくないという想い。だから音楽というメッセージは、戦争みたいなことを繰り返さないようにするのに役立つんじゃないかと思う」 文/佐藤剛 構成/TAP the POP サムネイル/Shutterstock 引用 「Green Day / General Interview for the album『American Idiot』 2004.08.06@Tokyo」
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