奄美と飯田で文化交流 出身女性を媒介に初開催【長野県飯田市】
鹿児島県奄美大島の宇検村(うけんそん)出身者でつくる関東宇検会の会員が20日、同村出身の柏木ちづ子さん(70)が暮らす長野県飯田市千栄を訪れ、周辺の住民ら約60人が集まった下村公会堂で「奄美文化交流会」を開いた。 「奄美を離れて55年がたつが、子どもの頃から兄弟姉妹のように遊び育った皆さんと飯田で再会したい」という柏木さんの希望で交流会が実現し、関東在住の会員ら9人が来飯。飯田からは千栄の住民のほか奄美大島ファンなども公会堂いっぱいに集まった。 交流会では、関西で活動する宇検出身者のバンドが奏でる島唄を鑑賞したほか、関東宇検会の会員がサンゴ礁、ソテツ、タンカン、サトウキビ、ハブ、マングースに象徴される集落の自然や動植物、名物を写真や映像で紹介した。 千数百キロ離れた飯田―宇検間を移動するチョウ「アサギマダラ」、元ちとせや中孝介ら奄美出身、ゆかりの芸能人などに関連したクイズも盛り上がり、後半では柏木さんも島唄を披露した。 夜は柏木さんが夫と営む「民宿宮のまえ」でミニ焼き肉交流会を開き、21日は三遠南信道天龍峡大橋の「そらさんぽ天龍峡」散策やリンゴ狩りを楽しんだ。 宇検出身の面々は「飯田側の参加者は7、8人程度かと思ったが、大勢の人が集まってくれて感激した」と話し、「これを機に両地域の交流がますます進んでいくといい」と今後に期待した。 柏木さんが「やはり奄美の人は情が厚い。久しぶりに会った気がしない」と飯田での再会を喜べば、朝の散歩ですれ違った人からキュウリをプレゼントされた宇検会の女性は「温かい助け合いの気持ちは同じだと思う。観光地化されていない田舎らしい雰囲気も似ている」と話した。