2024年のエンタメシーンを盛り上げる? 浜辺美波、眞栄田郷敦、河合優実ら辰年俳優
新年を迎えるたび、“年男”や“年女”に当てはまる俳優たちに注目する記事を書いてきた。この2024年は「辰年」だが、どのようなメンツがそろっているのだろうか。 【写真】『ゴジラ-1.0』戦闘機を操縦する神木隆之介 彼ら彼女らはたまたま同じ年に生まれたに過ぎないことをまず述べておく。当然だ。しかし、文章で記してみることで見えてくる面白さは必ずあるはず。ここではとくに勢いのある、そしてとくに注目したいーーそんな“若手”の演技者たちにフォーカスしてみたい。 「辰年」の若手俳優は2000年生まれ。すでにエンターテインメントシーンの第一線に立つ猛者ぞろいだ。 この世代の中でもとくに中心的な存在といえば、真っ先に思い浮かぶのが浜辺美波である。声優を務めた劇場アニメ『金の国 水の国』で2023年がスタートし、『シン・仮面ライダー』と『ゴジラ-1.0』という1年を代表するような2本ものビッグタイトルで彼女はヒロインを務めた。しかしこのあたりはこれまでのキャリアから予想できた活動でもある。真の意味での彼女の飛躍は、やはり朝ドラ『らんまん』(NHK総合)でヒロイン・寿恵子の人生を演じ上げたところにこそあるだろう。 寿恵子が年齢を重ねていくうち、浜辺の声質や佇まいも変わっていった。これまではティーン層を主なターゲットとした多くの作品でヒロインを務めてきた彼女だが、視聴者層が幅広い「朝ドラ」の場で真価を発揮できたことは、今後の仕事に大きく影響してくるはず。間違いなく2023年を代表する俳優のひとりだが、『サイレントラブ』や『もしも徳川家康が総理大臣になったら』などの主役級の作品が公開される2024年も彼女の立ち位置は揺るがないだろう。 主役級のポジションを務められる「辰年」の男性俳優といえば、鈴鹿央士と眞栄田郷敦だろう。2023年の鈴鹿は、映画『ロストケア』、配信ドラマ『君に届け』(Netflix)、ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日系)で主要な役どころを担った。年明けすぐに主演ドラマ『闇バイト家族』(テレビ東京系)の放送がはじまるし、主演映画『PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』の公開などを控えている。 いっぽう、映画『東京リベンジャーズ』シリーズの三ツ谷役でお馴染みの眞栄田は、同作だけでなく、大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)にて武田信玄の息子・勝頼として参戦し作品の盛り上がりに貢献。現在はアート性の高い主演映画『彼方の閃光』が公開中で、この1月からは話題作となるであろう『ゴールデンカムイ』が公開される。鈴鹿も眞栄田も、クールな役から愛嬌のある役までフィットすることのできる俳優だ。2024年はさらに飛躍するだろう。 ドラマ版に続くかたちで公開される『映画 マイホームヒーロー』(2024年)に出演の高橋恭平(なにわ男子)、舞台『リア王』で名だたる演劇人と肩を並べることになる上白石萌歌、映画『OUT』(2023年)で共演している与田祐希(乃木坂46)と醍醐虎汰朗も「辰年」の俳優。TOHOシネマズのナビゲーターとしてもお馴染みの福本莉子、朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)を盛り上げている最中の富田望生、『幽☆遊☆白書』(Netflix)での雪菜役が話題の見上愛、若きバイプレイヤーとしての地位を築きつつある前田旺志郎、中田青渚、山口まゆ、望月歩、箭内夢菜もそうだ。 映画監督たちから厚い信頼を得ている久保田紗友や田中偉登、森田想、中井友望、駒井蓮、祷キララもそうだし、デビューから数年のうちに急成長を遂げている林裕太や、『唄う六人の女』(2023年)でさまざまなタイプの先輩俳優陣と渡り合ってみせた桃果も「辰年」の俳優である。 そして忘れてはならないのがこの人、河合優実だ。いやいや、忘れるどころか、真っ先に彼女のことを思い浮かべた人だって少なくないだろう。なにせ2023年には初主演映画『少女は卒業しない』が公開されたのだ。共演者は彼女と同世代の、まさに次代を担う若手たち。彼女はその中心に立った。この2024年は『四月になれば彼女は』と『あんのこと』の公開を控えている。 浜辺美波が「陽」な俳優だとすれば、河合優実は「隠」な俳優ーーというイメージはもう過去のもの。浜辺はどこか陰のあるキャラクターを抑揚の効いた“静的”演技で表現してみせているし、河合は映画やドラマはもちろんのこと、松尾スズキの作・演出による舞台『ドライブイン カリフォルニア』などでエネルギッシュで“動的”な一面も提示している。いずれふたりの対決が見てみたい。 さて、ここに挙げた「辰年」の俳優はごく一部に過ぎない。注目すべき才能はほかにもまだまだいるし、紙幅の都合上、名前を挙げただけの存在に対しては口惜しい気持ちでいっぱいだ。彼ら彼女らにとってこれからの一年は、果たしてどのようなものになるのだろうか。
折田侑駿