【霞む最終処分】(50)第9部 高レベル放射性廃棄物 玄海町㊦ 廃棄物処分 日本の問題 「国が議論リードを」
◇ ◇ 文献調査に続く第2段階「概要調査」に移るためには、地元首長に加えて知事の同意が必要となる。玄海町のある佐賀県知事の山口祥義は反対の姿勢を崩しておらず、調査が進展するかは不透明だ。 文献調査に賛成派の町議の松本栄一は原発立地町の玄海でさえ、住民の間で最終処分への理解は進んでいないと指摘。国やNUMOに対して「もっと地域に入って考え方や取り組みを伝え、住民の意見を聞く努力をすべきだ」と注文する。 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県で発生した除染廃棄物は県外での最終処分が法律に明記されているが、処分への具体的道筋は示されていない。原発に大量に残る使用済み核燃料や溶融核燃料(デブリ)の扱いも全くの白紙だ。 松本は福島の現状も含めて「原発からの廃棄物は必ず、処分しなければならない。国は棚上げを続けてきた」と批判する。原発の問題を日本全体で考える時期に来ているとし、「地元任せではなく、国がより議論をリードしなければ物事は進まない」と語気を強めた。(敬称略)