【学生長距離Close-upインタビュー】マラソンで花開いた早大・伊福陽太「早稲田の歴史に名前を残せてうれしい」
大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。36回目は、早大の伊福陽太(3年)をピックアップする。 早大・伊福陽太が2時間9分26秒で大会新V!学生歴代5位!東洋大・梅崎蓮が2位/延岡西日本マラソン 2年時から2年連続で箱根駅伝8区を任され、区間10位、区間5位と好走。その後は2月11日の延岡西日本マラソンにて2時間9分26秒で大会新Vを飾り、一躍注目を集めた。 京都・洛南高時代は一度も全国高校駅伝の出走メンバーに入れなかった選手は、いかにしてマラソンで花開いたのか。
学生ながら初マラソンで快走
今年に入ってから各地の大会で大学生ランナーの活躍が続いている。 早大の伊福陽太(3年)もその1人。2月11日に開催された延岡西日本マラソンで初マラソンに挑むと、学生歴代6位(当時)の2時間9分26秒で大会新優勝を飾った。 昨年の同大会も、先輩の佐藤航希(4年)が制しており、早大勢の連覇となった。 「(延岡に出場したのは)去年、航希さんが走られたのが大きかった。記録を狙うという意味では、大阪や別大(別府大分)など別の大会のほうが良かったかもしれませんが、30km以降もしっかり先頭集団で上位争いをするという意味では、延岡のレベルがちょうどいい。そういう経験ができると思ったので出場しました」 意図していた通り、中間点を過ぎても伊福は先頭集団でレースを進めていた。そして、25kmでペースメーカーが外れると、思い切って勝負に出た。 「何事も経験。良い方向に転んでも、悪いほうに転んでも、良い経験になると思ったので思い切り行けたのが良かったと思います」 伊福はそのまま逃げ切って、優勝を果たした。「良くて2時間10分台、悪くても2時間11分台の間に収めようと思っていました」と言うように、史上最年少でのサブ10(2時間10分切り)は想定以上の記録だった。 早大の先輩では瀬古利彦、渡辺康幸、佐藤敦之といった名だたるランナーが在学中にマラソンに挑んで世界の舞台に羽ばたいていった。 「いずれ更新されると思いますが、早稲田の歴史に自分の名前を残すことができてうれしいです」 偉大な先輩たちの記録を飛び越えて、伊福は新たな早大記録を打ち立てた。 もともと長い距離を得意としていた。昨年の青梅マラソンでは、起伏のある難コースを1時間33分05秒の好記録で学生トップの6位に入っており、早くからマラソン挑戦を意識していた。 今年1月の箱根駅伝後は、ジョグの量を増やしたり、40kmの距離走を1回だけ実施したりと、短期間ながらマラソンに向けた準備をしてきた。 「距離走の30kmと40kmとでは全然違いました。(1kmあたり)3分20秒前後のペースでしたが、35kmを超えたぐらいからきつくて、最後はペースを落としてしまいました。本番はもっとペースが速いし、手応えよりも若干の不安が残りました」 そんな不安もなんのその。本番では見事な走りを見せた。チームもちょうど延岡で合宿中で、沿道ではチームメイトが団扇などを片手に声援を送った。 「元気が出ました」 仲間の応援も伊福の快走を後押しした。