架空映画のフライヤー展?関西のハンズで不思議な展覧会
架空映画のフライヤー展?関西のハンズで不思議な展覧会 THE PAGE大阪 ♪LIKALIFE
架空の映画を売り込む架空の宣伝フライヤーばかりを集めた不思議な展覧会「約100人の架空映画祭」が大阪市阿倍野区の東急ハンズあべのキューズモール店を皮切りに、関西地区の東急ハンズ各店で連続開催されている。架空の映画の架空のフライヤー? ミステリアスな香りに誘われて、会場を訪ねた。
すべて応募作家が作り出したファンタジー
ふと手に取った1枚のフライヤー。赤と紺の2色のインクで「生誕70周年記念特集上映 クリスティーヌ・デュボア」と記されている。クリスティーヌのデビュー作「レッスンは木曜日」から代表作「残り香」まで、デジタルマスターで5作品を一挙上映するという。 「シャンゼリゼの恋」「隣人の秘密」などの作品も、クリスティーヌが演じるヒロインのイラストとともに紹介されている。「図書館で会いましょう」では、黒ぶちのめがねをかけた文学少女らしきヒロインが、大事そうに本を抱えて佇む。 フライヤー全体からフランス映画らしいエスプリが、そこはかとなく漂う。古い作品だろうが、最新デジタル技術できれいに再現されたんだろうなと、思わず納得してしまいそうになるが、これはあくまで架空映画祭でのお話。「クリスティーヌ・デュボアという女優は実在していません」と話すのは、古書店駒鳥文庫店主の村上淳一さん。展覧会を企画した古書店グループkofのメンバーだ。 女優が実在しないのだから、デビュー作の「レッスンは木曜日」も、めがね少女の恋の行方が気になる「図書館で会いましょう」の映画も撮られていない。「しかも、架空の女優が出演した架空の映画の数々を、一挙に観賞できる特集上映会まで開いてくれました。架空映画祭の開催理念をよく理解していただきありがたい」と、村上さんは脱帽する。 女優、映画のタイトルから、ヒロインの人物像、特集上映会のスケジュールまで、すべて応募作家が作り出したファンタジーだ。
いろんな人たちに紙や印刷で楽しんでもらえたら
3人の古書店主による自主活動グループkofがこの夏、架空の映画を宣伝する架空のフライヤーを作成しようと呼びかけたところ、全国から100点を超える応募があった。うち70点あまりを入選作品として展示。作品のフライヤーは印刷のズレの文化を楽しむ孔版印刷で印刷。5点ワンセット500円で販売し、部屋のディスプレーなどに利用してもらう。 これまでにもkofは、架空の本屋の架空の本のブックカバー展、架空の雑誌のページを編集する展覧会「とじてん」などを開催してきた。いわば架空シリーズだ。メンバーのひとりで、「オンザブックス」店主の米田雅明さんには、必要以上の気負いがない。 「架空シリーズは、紙や本で、こんなことができれば面白いだろうなという発想から生まれました。古書店の仕事とは直接結びつかないかもしれませんが、いろんな人たちに紙や印刷で楽しんでもらえたら、僕らもうれしい」と話す。