異業種や競合が手を携えるオープンイノベーションの実態に迫る 流通革命に挑むトライアル⑥
サントリー・中村(佳) “トライアル従業員からのオススメ”という第三者推奨のオリジナルデジタルコンテンツをトライアル様と一緒に制作して、トライアル様の店舗で放映した。「MUSUBU AI」のすぐ近くに実店舗があることから効果検証がスピーディーにできる点にメリットを感じている。 ――成功事例は。 日ハム・水谷 トライアル様と「中華名菜」のオリジナルデジタルコンテンツを4パターン製作して店舗で放映したところ、“玉ねぎとピーマンがあればすぐにできる”簡便性を訴求したパターンで圧倒的に新規のお客様を獲得できた。アレンジメニューを訴求するパターンでは、新しいお客様には響かなかったもののリピーターのお客様には一定の響きをみせたことから、新規顧客獲得やリピート獲得など目的に合わせて施策を講じていく必要性を知ることができた。「中華名菜」の実験は昨年1年間実施し、野菜が切っても切り離せない存在であることが明確になったことから、パッケージを刷新した。野菜のイラストをしっかりあしらった。成功事例を横展開できた事例となった。
カルビー・松永 成功事例ではないが、「フルグラ」で時短訴求と栄養・中身訴求を店頭でのデジタルサイネージで1カ月間実証実験したが、1ヶ月間では検証に耐えられなかった。「プルグラ」のライトユーザーの購買期間は1年間の中で1つ買って下さる方、ヘビーユーザは13週の中で1つ買って下さる方と定義しているためだ。宮若での取り組みですごくいいと思うのは、ここでの成功事例を他小売企業様などで横展開していくことが推奨されているということ。 サントリー・中村(直) 私は兼業しているSalesPlus社のアドバイザーの立場で、数社様にサントリーで培った知見をもとにアドバイスさせていただいている。サントリー以外の部分でも、まさに流通を変えていくために横展開している。中堅メーカー様にも成果を出していただけるような場として感じていただければ、より活性化していく。 花王・前川 生活用品と食品の関連性を確認したくて、昨年9月に、オーラルケアブランド「ピュオーラ」で日本ハム様の加工肉とカルビー様のスナック菓子とコラボして実証実験を行ったが、昨年10月の値上げラッシュでノイズが入ってしまった。今後、もう少しブラッシュアップして再度チャレンジしていきたい。横展開については、九州地区での特性や食品企業様との可能性を見極めた上で考えていく。 アサヒ・若松 トライアル様との棚割りを自動化するという実証実験で得られた知見を活用して、当社も品揃えの最適化に付随したサービスをリリースした。アサヒ飲料では、トライアル様が推進しているカテゴリーマネジメントの手法を取り入れている。実際に、カテゴリーマネジメントを推進していくための組織も設立され、そういった意味で、全社共有が図れている。