火の用心 拍子木鳴らし40年 福島県郡山市の笹川保信さん(70)、市中心部で呼びかけ
「カン、カン」。寒風の吹く福島県郡山市中心部に、拍子木の音が響く。火の用心を呼びかけているのは同市虎丸町の無職笹川保信さん(70)だ。1月中旬から2月末まで毎晩、1人で町内を巡回している。1983(昭和58)年に活動を始め、この冬で40年を迎えた。 巡回は虎丸第一町会青年部の取り組みとして始まった。当初は部員が交代で担っていたが、組織としての活動は10年ほどで終了。笹川さんは「地元から火事を出さないために」と仲間の有志と2人で続けてきた。相棒が高齢を理由に約5年前に「引退」した後は、1人で活動している。 夕食を終えた午後9時から30分間、法被姿で町内を歩く。拍子木を鳴らし、就寝前の火の元の確認を住民に促す。路地などに不審な点がないか目を光らせ、歩きたばこの人がいれば「火の始末に気をつけてくださいね」と呼びかける。 虎丸第一町会はJR郡山駅から西に約800メートルの住宅街。目抜き通りのさくら通りが走り、新しいマンションやアパートが並ぶ。町内会未加入世帯の「知らない顔」が増えた分、防火や防犯の意識を地域に根付かせたいと拍子木を鳴らす手に力が入る。「これからも安心して暮らせるまちにしたい。できる限り活動を続ける」とほほ笑む。