「円高リスク」をモノともしない強い決算をみせた、「傑出3社」とは?
北朝鮮問題をはじめとする地政学リスクに4月に入ってから翻弄(ほんろう)されてきた東京株式市場。もう一つ、厄介な材料として、たえず市場関係者に意識されているのがドル・円、あるいはユーロ・円ベースでとらえた円高リスクだ。しかし、こうした円高懸念をモノともしない実力企業の決算が4月後半から相次いで明るみにでている。とりわけ、キヤノン(7751)、日本電産(6594)、三菱電機(6503)の3社の円高抵抗力が浮き彫りになっている。(解説:証券ジャーナリスト、神田治明) ◇ ◇ 日本株にとって、「円高」は地政学リスクと並ぶウィークポイントだ。トランプラリー相場を背景に、昨年12月には1ドル=118円台を記録したドル・円相場は、今年4月半ばには108円台前半まで円高が進行。こうした動きと背中合わせに、日経平均株価は折からの北朝鮮リスクの高まりもあって4月17日には一時、1万8224円まで下落した。 円高によって、日本の上場企業の収益に下方圧力が高まり、2~3月当時までマーケットに広がっていた「2018年3月期の前期比2ケタ増益」期待が急速に冷え込んだことが大きい。円高に警戒感を強めた一部の市場関係者の間からは、増益率がひとケタにとどまるどころか、「為替の動き次第では最悪、減益に陥りかねない」との声も上がっていた。
キヤノン、1~3月期は営業利益88%増
ところが、そうした警戒ムードを、どうやら杞憂(きゆう)に終わらせそうな「強い決算」を4月下旬に入ってから発表した実力企業が3社ある。 一つがキヤノン。4月26日に同社が発表した今12月期第1・四半期(1~3月)連結決算は売上高9727億6100万円(前年同期比22.0%増)、営業利益756億6500万円(同88.8%増)、当期利益550億8900万円(同96.8%増)と大幅な伸びを達成した。 東芝から買収した医療機器会社が収益拡大に貢献したほか、レーザープリンターやカメラなど既存事業の好調、有機EL蒸着装置をはじめとする新規ビジネスも上々。第1・四半期の売上高営業利益率は7.8%と、前年同期の5.0%を2.8ポイント上回った。 それとともに、目を見張ったのが、いかんなく発揮した「円高抵抗力」である。