【速報】近大剣道部員暴行死「動機は短絡的」被告の元部員に懲役5年求刑 ふざけあいがエスカレートか 父親は「友人を愛し愛されて生きてきた。その友人に命を奪われ、悔しくて仕方ない」
近畿大学の剣道部内で、同じ部に所属していた男子部員に暴行して死亡させた罪に問われている元大学生の男の裁判員裁判が21日、大阪地裁で開かれ、検察側は懲役5年を求刑しました。 起訴状などによりますと、近畿大学の剣道部に所属していた林陽暉被告(22)は、2023年10月、東大阪市内の路上で、同じ剣道部に所属する男子大学生(当時21)の顔を殴るなどの暴行を加えて、後方に転倒させ、死亡させた罪に問われています。 これまでの裁判員裁判で、元大学生は「間違いありません」と起訴内容を認めた上で、「申し訳ありませんでした」と謝罪の言葉を口にしました。 検察側の冒頭陳述などによりますと、林被告と亡くなった学生は、事件の直前に東大阪市内の飲食店で、剣道部の学生6人で酒を大量に飲んでいたということです。 退店後、林被告が肘で被害者の体を押すちょっかいをかけると、被害者が「あいつうざいわ」と言って一旦は受け流し、その後、被害者が背後から林被告の頬をたたき走って逃げました。 林被告は被害者を追いかけて顔面を拳骨で殴ると、まわりに止められてもさらに詰め寄って拳骨で胸付近を押し、被害者は後方に転倒。駐輪されていた自転車に後頭部を打ち付けて動かなくなり、心配停止の状態で病院に搬送され、事件から11日後に死亡しました。 検察側は「まわりに止められても酔っている被害者に詰め寄って押し倒す犯行態様は危険であり、被害結果が重大。犯行動機は短絡的だ」などと指摘。これに対し、弁護側は「様々な偶然が重なって起きた事件だ」として情状酌量を求めました。 21日の裁判で意見陳述した被害者の父親は、涙ながらに次のように語りました。 「息子が亡くなる直前、『俺の息子でいてくれてありがとう』と伝えた。家族で食卓を囲んだあの時が愛おしくて仕方ない。息子は友人を愛し、友人に愛されて生きてきた。その友人に命を奪われ、無念さを思うと悔しくて悔しくて仕方ない。しかし、裁判での判断基準は『息子ならどう思うか』ということであり、人を恨めば恨み返されると分かっていた息子のことを思い、罪に情けをかけるつもりはないが、私は被告を憎まない。(林被告に対し)多くの人が悲しみに暮れていて、おとがめなしの判断はしない。(判決後の)それからの人生を一生懸命生きろ。道を外したり人を憎んだりするな。もしも破ればそれは息子の命を2度殺し、家族の心を冒涜することになる。息子の天からの声を感じてほしい。我が身を大切にして、天寿を全うしてほしい」 その後、検察側は「後ろに止まっていた自転車に後頭部が当たったなど偶発的な点は否めないものの、酔って反射が鈍っている被害者に暴行を加えたのは危険であり、先にちょっかいをかけたのは林被告であって被害者に落ち度はない。大学生であり輝かしい未来を絶たれてしまった被害者の無念は想像を絶するものであり、両親の悲しみは察するにあまりある」と指摘した上で「被害弁償を一部している」などとして懲役5年を求刑しました。 一方、弁護側は「林被告は大親友の命を奪ったことを深く後悔していて、一生罪と向き合い償う覚悟があり、遺族を訪ねて謝罪したり月命日には花を贈ったりしている。通常、人の死につながるほどの強さでは殴っておらず、後ろにあった自転車に後頭部をぶつけたことにより死亡したという当たりどころが悪かった側面がある。今後も被害弁償をしていくつもりで、社会でやり直すことも十分に可能だ」として執行猶予付きの判決を求めました。 最後に、スーツに黒色のネクタイ姿で出廷していた林被告は、遺族の方に体を向けて繰り返し深く頭を下げながら「私が今回起こしたことにより被害者の命と未来を奪ってしまったこと、たくさんの人を悲しませ不幸にさせたこと、本当に申し訳ありませんでした。これからこのことを一生胸に刻んで被害者の分まで償いと反省をしながら生きていきたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」と話し、裁判は結審しました。 判決は11月29日に言い渡されます。
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