スタートアップ(1月8日)
40年前の今月、小さな箱形パソコンが世界を驚かせた。マウスを使い、画面を自在に操作できる。米アップルが発表したマッキントッシュだ。パソコンは難しいという常識を覆し、家庭で誰でも使えるようにした。まさに革命だった▼今や、株の時価総額が3兆ドルに達する。押しも押されもせぬIT界の巨人に成長した。創業者スティーブ・ジョブズは「世界を変えられると本気で信じている人たちこそが、本当に世界を変えている」と語った。固い信念と斬新な発想がヒット商品を次々と生み出し、倒産危機すら乗り越えた▼県内でもスタートアップ(新興企業)が世界市場を目指す。南相馬市の宇宙関連会社は空中発射式ロケット開発に心血を注いでいる。成層圏の気球から放ち、人工衛星を軌道に乗せる。安価で発射場所を選ばない。昨年末、制御装置の検証実験に成功した。福島発の技術が、世界を席巻する日が待ち遠しい▼56歳で他界したジョブズは「旅の過程にこそ価値がある」と説いた。フクシマから飛び立った衛星がいつか天上に届く日を待ちわびているだろう。人は新年に夢や目標を誓う。不世出の起業家の声が聞こえる。「失敗も糧となる。勇気を持って踏み出せ」<2024・1・8>