看護師不足に感染症の流行が追い打ち…沖縄の救急がひっ迫 県立病院の医師に聞く
今、沖縄の救急医療は、需要と供給のバランスが大きく崩れ、「災害時」のような状況にある。救急医療ひっ迫の背景を、命の砦を守る医師たちに聞いたー 【写真を見る】看護師不足に感染症の流行が追い打ち…沖縄の救急がひっ迫 県立病院の医師に聞く ■医療ニーズ増・労働供給は減で災害のような状態に ▽県立南部医療センター・こども医療センター 救急・集中治療科 土屋洋之副部長 「日曜日が一番受診者が増えるんですが、今の19時50分の段階で133人受診していて」 県立南部医療センター・こども医療センターでは今、救命救急センターの受診者の増加が続いている。その8割を占めるのが子どもだ。子どもの受診者数は、去年と比べて、ひと月あたり400人前後多くなっている。 ▽土屋洋之医師 「特にこの4月に入る前ぐらいからですけど、救急に携わる人間からしたら、災害医療的な側面が強くなるぐらい需要と供給のバランス崩れちゃっている。制度的なこととか、働き方改革とか、“労働喪失”、看護師さんや医者が減っているとか、そのバランスが目に見えて崩れてきたところで」 「災害時」のような、需要と供給のバランスの崩れ。今年4月から、働き方改革の一環で、勤務医の休日や時間外労働の上限規制が始まったことや、看護師の不足も大きな要因となっている。 県病院事業局によると、今年3月末の時点で、県立病院の看護師の欠員は101人にのぼる。 ▽土屋洋之医師 「救急の現場に看護師さんを投入したい、救急の患者が増えてるから重点的に投入したいと考えても、投入できる看護師さんがそもそもいない。例えば患者さんが来られて医者が診察しますけど、それまでに例えば看護師さんが患者さんに話を聞いたり、血圧を測ったり、いわゆるトリアージという作業をするのも人員が足りない」 「そうなると患者さんがたくさんこられても、トリアージが進まないから診療が追いつかない。診療するまでに待つ時間がまた増えたり」 ■日中の受診からあふれ やむなく救急受診というケースも 需給バランスの崩れは、県内全域で起きていて、日中に受診できなかった人がやむを得ず、救急を受診するケースも少なくない。 ▽子どもの受診で来院した母親 「朝早く予約しないと取れないところがほとんどで、朝で行けなかったら他の病院回ったりして。救急に行くしかなくなって」 ▽小児感染症内科 張 慶哲医師 「本当に困ってる患者さんが大半で、軽症で来なくていいような方はどちらかというと少数派。やっぱり感染症の流行がかなりあって、RSウイルスの流行が47都道府県で1番になってますし」 「成人も含めてコロナの流行もあって、小児ももちろん。あとはマイコプラズマですね。この3つの感染症が今すごく流行してて、本当に熱が長く続いたりとか、呼吸がしんどくなったりする人が多い」