GPIFが4年ぶり貸株再開へ、スチュワードシップとの両立図る
(ブルームバーグ): 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は15日、空売りしたい投資家に一時的に株券を貸し出す外国株式の貸株を再開すると正式に発表した。
再開は7日の経営委員会で議決した。GPIFは、株式を手放せば適切に議決権を行使できず、投資先の企業価値向上を促すスチュワードシップと整合性が取れないとの判断から2019年に外国株の貸株を停止していた。
その後、市場への影響を調査してきたが、株式市場に対する影響が観測されなかったことや、海外年金基金では一定の対策の下でスチュワードシップとの両立が図られていることなどが確認されたとして再開を決めた。国内株の貸株実施は予定していない。
GPIFは外国株の貸し付けを通じて19年度までの3年間に約356億円の収益を上げた。公表資料では、今後貸株で得られる利益は「超過収益源の一つとして位置付ける」と明記した。貸株の実務を担う証券会社を資産管理機関が選定するなど具体的な対応を進める。
世界最大の年金基金であるGPIFが貸株を停止した際は国内外で議論を呼んだ。当時、空売りの標的となっていた米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は賛意を表明したが、貸株を停止すれば収益機会も放棄することになり、被保険者の利益を追求するというGPIFの使命と相いれないのではないかとの論点もあった。
関連記事:
(c)2024 Bloomberg L.P.
Takashi Umekawa