<WBC>4連勝のイスラエル旋風を支える16人投手制
殊勲の同点タイムリー二塁打を放ったキャッチャーのラバンウエーが言う。レッドソックスの第2、第3のキャッチャーとして4年プレー、2015年はオリオールズ、ブレーブスでプレーしたメジャー経験者だ。 「うちの強みは圧倒的な投手力と考えている。ブルペンのピッチャーは球速があり、球種も豊富もある。彼らとのコミニケーションが勝利につながっている。私は彼らを信頼してサインを出している」 先発して4安打4奪三振1失点と好投したマーキーが語っていたが、チームのアナリスト(スコアラー)からは的確なデータが届き、「ここに投げれば打ち取れる」というゾーンも示されるという。 150キロ級のストレートを操るマイナーリーガーが16人も束になって、しかもそこに攻略データがプラスされているのである。精密なコントロールの部分は、まだ足りないが、強力な勝利方程式である。 その投手陣のリーダーであり精神支柱でもある38歳のマーキーが言う。 「うちのチームには素質をもった若手が多い。彼らがこういう大観衆の前でプレーすることで、より結束を深めているんだ」 イスラエルは、昨年11月に米国ブルックリンで行われたWBC本線出場の予選をイギリス、パキスタン、ブラジルと争ったが、3試合でわずか3失点の投手力を生かして勝ち抜いてきた。 決勝タイムリーを放った26歳のマイナーリーガー、ボレンスタインがチームへの誇りを持って語る。 「ブルックリンで戦ったときからチームの結束が強まった。それは年を跨って今も続いている。500フィートのホームランは必要がない。1点を取るためにエラーや、犠飛、犠打のチーム貢献が大きな力になる。誰も自分だけヒーローになればいいと考えていないのが、このチームの強さだ」 試合後の会見でキューバのメディアから意地悪な質問が飛んだ。 「イスラエルをアメリカの第2チーム、第3チームだと呼ぶ人もいるが、どう思うか?」 ウエインスタイン監督は、表情を変えずに答えた。 「そのような意見には同意しかねる。我々はイスラエルを代表したチームなのだ」 イスラエルは、今日13日にオランダ戦を戦い、14日のオフを経て15日の日本との決戦に備える。オランダ戦で決勝トーナメント出場を決めることができていなければ、日本戦に勝負をかけてくることになる。オランダとの死闘を制した日本も、キューバ戦に勝って、2勝を挙げておかなければ、今大会で大旋風を巻き起こしているイスラエルが、その強力な投手力を武器に、両手を広げて立ちふさがることになる。