世界経済、軟着陸の途上でも不安拭えず-G20会合出席者を市場注視か
(ブルームバーグ): 世界経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているのなら、その過程には多くの不安が伴うだろう。イスラエルに対するイランのミサイル攻撃で、世界的な緊張が強まった。
米ワシントンで今週開催される国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合や20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に、世界の金融エリートが集結する。成長鈍化や根強いインフレ、高い金利と債務水準、ウクライナやイスラエルなど市場を動揺させる地政学的リスクなどが議題となる見通し。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は現時点で、今年の世界経済成長率が2.9%に減速すると見込む。予想を昨年12月時点から0.2ポイント引き上げたが、新型コロナウイルス禍前の水準をなお「かなり下回る」という。
IMFも16日に発表する成長率見通しを現在の3.1%から若干引き上げることをゲオルギエワ専務理事は示唆している。ただ世界は「低迷と期待外れの10年」に向かっていると警告している。
IMF、「ぬるい20年代」警告-インフレと債務への対応必要 (1)
こうした状況から投資家は会合の主要参加者の発言を注視する見通しだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、イエレン米財務長官、ハント英財務相のほか、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行、イングランド銀行(英中央銀行)のトップらが講演する予定。
最近のG20会合ではその時々の政情が足かせとなった。今回もメンバーを二分するリスクに対処できない可能性が高い。
G20財務相会議、ガザとウクライナ巡り対立-共同声明の採択見送り
ロシアのウクライナ侵攻は3年目に突入した。米国の軍事支援が疑問視されるとともに、武器や債券クーポンに関するウクライナの支払い能力がますます関心を集めている。一方、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争で中東がより大きな衝突に巻き込まれるリスクもある。