京都・叡電711号車がリニューアル、遠方から訪れるファンも
■ コロナ禍には利用者が半減も…多数のエール
漫画やアニメとのコラボでも知られ、熱いファンが多い京都の洛北エリアを走る「叡山電鉄」(本社:京都市左京区)。2018年から700系車両のリニューアルが進められており、赤や青のカラフルな車両が増えているが、新たに700系(デオ710形)の711号車が深みのある緑色に一新。11月1日から運行している。 【写真】こちらもリニューアル…711号車のエンブレム 10月31日に開催されたデビューイベントでは、平日にもかかわらず、熱い常連ファンが同社の修学院車庫に駆け付け、人気の観光列車「ひえい」とのコラボ撮影や貸切り運行などを楽しんだ。 今回リニューアルされた700系車両は、1987年にデビューした車両の両端に運転台がある「両運転台車両」で、ワンマン運転用として設計された叡電初の冷房車。当初はクリームとマルーンの塗装だったが、順次デザイン変更をおこなっており、711号車が5両目のリニューアルとなる。 女性デザイナーが手掛けており、深みのある緑は、1200年の歴史を持ち、信仰と修業、生活の糧として京都の人々とともに歩んできた「比叡山の神秘的な森」を表現しているという。 平日は地元住民の足として、土日は観光客の足として、利用者の客層がガラッと変わる特徴があるため、同社の豊田代表取締役社長は、「どちらの方々にもご満足いただけるよう、どの車両に乗れるのか、叡電に乗っていただくこと自体を楽しんでもらえたら」と力を込める。
コロナ禍中では、利用者が半分以下になった時もあったが、そんなときでも地元ファンや叡電ファンから「がんばってね」とたくさんのエールが届いたとのこと。 デビューイベントに参加していた、広島県から通い詰めているというファン歴15年の男性客(30代)に話を聞くと、「元の車両イメージを残しつつ、時代にあわせて内装と色を変えていくところが好きです」と笑顔。月に1度は広島から訪れているそうで、「乗車すると京都らしさがありつつも、のんびりした風情を楽しめます。地域密着力がある」と、その魅力を語った。 そのほか、訪れたファンからは「叡電は、電車愛のある運転士が多い」との声も。リニューアルされた711号車へ乗車を希望する場合は、次の日の車両運用が分かる前日の夜9時以降に叡電の「修学院駅」へ電話にて問い合わせを。 取材・文・写真/いずみゆか