野党4党が法案提出 自治体の「ごみ屋敷」対策の現状は
日本維新の会、みんな、結い、生活の各党は「ごみ屋敷」対策法案(廃棄物の集積又は貯蔵等に起因する周辺の生活環境の保全上の支障の除去等に関する法律案)を5月16日に共同提出しました。地方自治体の首長がごみの撤去を勧告し、立ち入り調査できるようにし、従わない場合は50万円以下の罰金を科すというものです。社会問題として、たびたびニュースで取り上げられている“ごみ屋敷”は、市町村などの現場が対応してきました。ごみ屋敷問題の現場は、いまどうなっているのでしょうか?
対応が難しい「ごみ屋敷」問題
屋外に放置されているように見える家電品、散らかった機械部品、野積みされた植物……。それらは他人には明らかに“ごみ”と思えますが、持ち主にとっては大事な所有物かもしれません。しかし、ごみを溜めこみ、悪臭や害虫被害が発生するなど、近隣住民への被害も無視できません。その線引きの難しさが、ごみ屋敷問題の根底にはあります。 日本国憲法29条では、財産権が保障されています。これまで、行政がごみ屋敷にきちんと対応できなかった理由のひとつです。 ごみの処分に関しては、これまでに廃棄物処理法などの法的対策がとられてきました。しかし、廃棄物処理法の対象は業者で、個人宅のごみ屋敷は対象外でした。そのため、行政は対策が後手に回っていたのです。
条例で対策を行う東京・足立区
東京都足立区では、昨年から足立区生活環境の保全に関する条例(通称・ごみ屋敷条例)を施行しています。各地方自治体でも同様の条例を制定しています。足立区の特徴は、最大100万円まで撤去費用を区が負担するというものです。行政が撤去費用を負担することは、税金が使われることになります。 「『私有地のごみを片付けるのに、税金を使うのはけしからん!』という意見があることは承知しています。しかし、職員がごみ屋敷を片付けても、結局は人件費が高くなり、もっと多くの税金を使うことになってしまうのです。100万円を区が負担することで民間事業者に委託し、NPOや自治会などの協力してもらい、撤去費用を抑えることができるのです」(足立区環境部生活環境保全課) 昨年度、足立区は条例にもとづいて2件のごみ屋敷を撤去しました。総費用は、約101万円。足立区では、ごみ屋敷撤去費用の原資が税金であることをきちんと認識し、無駄遣いしないように弁護士や医師、自治会役員、社会福祉協議会職員などで構成する生活環境保全審議会でチェックしています。