中国は必要なら量的緩和導入を-元人民銀貨幣委員がタブー視払拭促す
(ブルームバーグ): 中国は、かつて非伝統的な政策手段とされた中央銀行による国債買い入れを通じた量的緩和(QE)を「タブー」視するのをやめ、経済成長を促進するために必要かもしれないと認識すべきだ。中国人民銀行(中銀)元貨幣政策委員の余永定氏がそうした見解を明らかにした。
QEはほとんどの先進国の中銀で金利をゼロに向けて引き下げた後の刺激策ツールとして活用されてきたが、中国の政策当局はQE導入をずっと拒否してきた。
QEが経済成長の低迷や過剰な公的債務と結び付けられることもあり、一部の批評家は欧米諸国の経済衰退の証拠と見なしている。
2004-06年に人民銀の貨幣政策委員を務めた余氏はソーシャルメディアの微信(ウィーチャット)に投稿された論文で、「中国はまだ大規模なQEに着手せざるを得ない状況ではないが、QEがタブーだとの考えをまず払拭し、必要になれば直ちにQEを開始できるようにする必要がある」と指摘した。
今年先に公表された習近平国家主席のコメントは、国債を財政省から直接買い入れるのではなく、流通市場を通じて購入・売却するよう人民銀に促していたが、これは新たな金融政策ツールの構築というより、流動性押し上げを狙った措置だとエコノミストはみている。
習主席の曖昧な国債発言、QE観測招く-人民銀はFRBに近づくか
QEに関する余氏の主張は、政府が掲げる今年5%前後の成長目標を確実に達成するため、国債発行の規模拡大と財政赤字増大を検討するよう政府に求める文脈で発信された。
余氏は調達資金がインフラ投資の拡大に加え、不動産不況や地方政府の債務増加に起因するリスクへの対応に充てられる可能性があると示唆し、中央政府の国債発行が本格化すれば、人民銀が流通市場で国債の「大量購入」を始めるのは「不可避」かもしれないとの見方を示した。
余氏によれば、「債務問題の最終的な解決策は、債務返済ではなく、経済成長の維持」だ。