【EVの素朴な疑問】半固体電池って何。全固体電池との違いはどこにあるのですか?
EV用半固体電池も実用段階になっている
自動車用として大型化・量産化されるのは2025年以降と言われていたが、いち早く車両に搭載したのが交換式バッテリーで知られる中国のプレミアムEVメーカー「NIO(ニオ)」だ。 同社は2021年1月にEV用半固体電池を開発中であることを発表していたが、翌22年3月にフラッグシップセダン「ET7」の発売会のなかで半固体電池の実用化が近いことを宣言。150kWhの半固体交換式バッテリーパック(モデル)も公開し、そのエネルギー密度は360Wh/kgという全固体電池に並ぶ驚異的な数値であることが明らかにされた。 半固体電池セルの生産は中国の中堅バッテリーメーカーであるWeLion(ウェライオン)社で、NIOがバッテリーパックにアッセンブルしている。2023年12月には、このバッテリーパックを搭載した「ET7」で1000km以上(1044km)を無充電で走破する模様をライブストリーミングして中国では大きな話題となった。もっとも、量産化が進んでいない現時点では非常に高価なバッテリーとなっており、一般ユーザー向けにはこの4月以降にようやく交換用レンタルとしてリリースが開始されるようだ。
残る課題は量産化へのロードマップ
車載電池の世界シェアでトップに立つ中国CATLも、次世代電池の本命は全固体電池であると位置づけながらも、当面は半固体電池にも注力する構え。ここに日本勢や米国勢も加わって、全固体電池開発の前哨戦的な様相となっている。 従来の三元系リチウムイオンバッテリーに代わり半固体電池が今後急増することは間違いなく、全固体電池の量産化が実現する2030年代までは、LFP(リン酸鉄イオン)電池と半固体電池が自動車に限らず市場のメインストリームになっていく可能性が高い。スマホのバッテリーもごく近い将来、半固体電池に置き換えられていくだろう。