「とろっとろの湯」島根・美又温泉、温泉総選挙の美肌部門で全国1位…都内にある「瀬音の湯」が2位
島根県浜田市の美又温泉と旭温泉が、ファンらによる「温泉総選挙2024」の「美肌部門」、「歴史/文化部門」で、それぞれ1位に選ばれた。美又温泉は、美肌部門の前身「うる肌部門」を含めると、21、23年に続いて3回目の1位。島根県内ではこのほか、江津市の有福温泉、風の国温泉も別部門で3位に入るなどし、“温泉県”としての存在感を示した。(佐藤祐理)
温泉総選挙は、一般投票で決める部門賞などがあり、今年は8月9日~11月1日に実施された。従来は同一人物が1日1回に限り、何度でも同じ温泉地にネットで投票できたが、今回はそのルールを見直し、投票はネットと現地の2回だけに変更された。
美又温泉は、保湿効果があるメタケイ酸を多く含み、ファンの間で「とろっとろの湯」と呼ばれる。近年は「うる肌部門1位」を機に泉質や名前が全国に広がりつつあり、関東や名古屋方面からの宿泊客も訪れるようになっているという。
今回から名称が変わった「美肌部門」には、美又温泉を含めて22か所がエントリー。同温泉は10月にあった「美又温泉まつり」などを通して支持を広げ、2位の秋川渓谷瀬音の湯(東京都あきる野市)や、3位のいわない温泉(北海道岩内町)を抑えた。
美又温泉旅館組合の横田雪生組合長(77)は「美肌の湯や、温泉街の取り組みが認知されてきた。自慢の泉質と、あんこう鍋などの美肌メニューとセットで、さらなる誘客につなげたい」と喜んだ。
旭温泉は、石見神楽が盛んな8~11月の毎週土曜に、「旭温泉 あさひ荘」で「湯ったり神楽」と銘打ち、地元の神楽社中による舞を披露。間近で神楽の迫力を楽しめるため、柔らかい肌触りの湯と合わせて人気になっているという。
「歴史/文化部門」には、旭温泉を含め8か所がエントリーした。2位は犬吠埼温泉(千葉県銚子市)、3位は熊野本宮温泉郷(和歌山県田辺市)だった。
旭温泉旅館組合の今宮和徳組合長(46)は「温泉街ではコロナ禍で閉める施設もあったが、新たな出店を検討する動きも出ている。今回の1位や神楽を生かしながら、集客や地域の盛り上がりにつなげたい」と意気込んでいる。
また、有福温泉は「秘湯/名湯部門」、風の国温泉は「湯治ウェルネス部門」でそれぞれ3位になった。県内から複数の温泉が入賞したことについて、温泉総選挙の山下太郎・総合プロデューサーは「ゆっくり過ごせる温泉地がトレンドになっている。温泉好きの方が確実に評価してくれた結果ではないか」と話す。