辰吉ジュニアは「天心がKOできなかった男」を倒せるのか…“カリスマ”父のバンタム級への転級視野
プロボクシングの「PRIME VIDEO PRESENTS LIVEBOXING6」(23日・エディオンアリーナ大阪)の前日計量が22日、大阪市内のホテルで行われ、アンダーカードで行われる54.5キロ契約の8回戦ではノーランカーの辰吉寿以輝(27、大阪帝拳)と対戦相手の日本バンタム級10位の与那覇勇気(33、真正)が共に一発でクリアした。辰吉の相手は、那須川天心(25、帝拳)のデビュー戦で「KOできなかった男」。辰吉は、偉大なる父の元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎(53)がベルトを巻いたバンタム級でタイトルを目指す可能性を示唆し、“天心超え”のKO決着を誓った。 「ポロンあるかも」井岡一翔の大晦日決戦を盛り上げた4人のラウンドガール
妻手製の参鶏湯でリカバリー
辰吉は与那覇とのフェイスオフで握手もしなかった。 「なんか熱い人やと思いますよ」 計量を終えると控室で保温ポットに入った妻の手製の参鶏湯に舌鼓をうった。 「塩が足りてないんで」。ネギと塩は別封されている本格派。それをパラパラと上から振ってから、美味しそうに空っぽの胃袋へ流し込んだ。 減量方法は“カリスマ”の父親から直伝された“昭和スタイル”。直前に汗を出して落とす“水抜き”はせず1か月かけて徐々に8キロを落とした 「これが僕には合っているんでね」 対戦相手の与那覇は昨年4月の天心のプロボクシング転向デビュー戦の相手を務めた。天心の天才肌のスピードについていけず、途中ダウンを奪われて大差の判定で敗れたが、「天心がKOできなかった男」として名前は売った。ボディ攻撃でプレスをかけ、飛びつくようにして打つトリッキーな左で天心を戸惑わせるシーンもあった。沖縄尚学高―東洋大のアマキャリアが土台にあり、天心に敗れた後、一時は引退も考えたというが、昨年8月に元世界ランカーのカルーン・ジャルピアンラード(タイ)を2-1の判定で下して再起戦も終えている。格闘技の世界で3段論法的な比較論は通用しないが、天心が倒せなかった与那覇を辰吉が倒せば、“天心超え”の評価を受ける可能性はある。 「しっかり倒す。明日も超攻撃的?そうですね、それが僕のスタイル」 改めてKO宣言をした辰吉は、天心がサウスポーで参考にならないため、その天心―与那覇戦の映像はほとんど見ていないという。 そして天心との比較論が出てくる可能性についても言及した。 「どうなんですかね。スタイルが違いますからね、サッカーでいえば、GKに“おまえ点とってこい!”はないでしょ。僕は倒しにいくスタイルなんで。それで世間の評価が上がるといい。僕はFW?そうなりますか。サッカーのルールは知らないですけど(笑)」 父親譲りの自負がちらついた。 今回の試合に関して父とは、「普通の話はしているけれど、ボクシングのアドバイスはないですよ。普通の話?いつも右から左の耳に抜けて聞いていないんで(笑)」という。 その父である辰吉丈一郎は、今回の試合が決まった時点で、天心と比較される可能性があることを伝えると、筆者にこう返していた。 「周囲は、そこで盛り上がるかもしれんね。アピールする分には寿以輝にとって願ってもないチャンス。周りがお膳立てしてくれたこの舞台を生かすも殺すも寿以輝次第。当の本人が結果を出さんとあかん」 そしてKOにこだわる必要がないことを熱弁していた。 「倒すにこしたことはないけど、判定であっても技術を見せれば、おお!と言わせることはできるんよ。今は、まだそれができていない。判定になるくらいの方がええ。のちのちのことを思えばね。気負いすぎると危ないところもあるからな。冷静に。とにかく、反復練習。練習でやったことしか試合には出ん。寿以輝に必要なのは、リングの戦いでの“慣れ”」 27歳になるが、15戦14勝(10KO)1分けのキャリア。ケガによるブランクもあり、父は、まだまだ試合経験が必要だと説く。
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