【TSMCインパクト 第1部・強い光 影も濃く 進出地①】「客単価も日本人より高め」…台湾客ら飲食店に活況 需要の浮き沈み懸念も
◇ ◇ 菊陽町に隣接する大津町のにぎわいはどうか─。肥後大津駅北口の居酒屋「紅葉亭」のおかみ、伊東暢子さん(64)は「TSMCの第1工場の建設が始まって以降、じわじわと客は増えてきた」と語る。町内で進むホテル開業の動きを踏まえ、「出張需要の増加」にも期待する。 ただ、ある飲食店の店長は「TSMCの第1工場の建設中、工事関係者の来店は期待したほどではなかった」と明かす。「第2工場の建設が本格化しても、地元客優先の店作りをしていく」と足元を見詰める。 このところ、伊東さんも微妙な変化を肌で感じている。町内のホテル代が高騰し、熊本市内の方が安いと宿泊先を変える人も出始めたという。「毎月来ていたのに、ぱったりと見なくなった人もいる」 大津町の商業地の基準地価(24年7月1日時点)は前年から33%上がった。全国でトップの上昇率だった。「うちはまだ、家賃の値上げには至っていないが、いつ求められるかと、みんな不安に思っていますよ」と伊東さん。商店主らが漠然と抱える〝戦々恐々〟とした思いを代弁した。(林田賢一郎、草野太一)