エリザベス女王、ノーベル平和賞のノミネートを辞退していた? 上級廷臣が証言
1953年に即位して以来70年にわたって英国の君主を務め、56国から成るコモンウェルス(英連邦)のトップであり続けたエリザベス女王。ノーベル平和賞のノミネートを辞退していたという証言が浮上した。新聞「デイリーメール」が報じている。 【写真】一周忌を迎えて。エリザベス女王の自然な瞬間を捉えたアルバム
同紙のロイヤルレポーターによると女王の生前「コモンウェルスを変革し、拡大させた」功績によりノーベル平和賞を受ける方向で話が進んでいた。しかしそれが実現していないのはご存知の通り。関係者によると、それは女王自身が望まなかったからだという。ある上級廷臣が同紙に語っている。ノーベル賞は事前に候補者の意向を聞かずに選考され、授賞を希望するかどうかも確認されずに授与される。しかし女王の場合「女王を推薦することについて英国王室はコモンウェルスのリーダーたちから一度以上打診を受け、指導を求められた」。証言によると女王はこれを辞退。「英国王室は礼儀正しく『ありがとう。でも結構だ』と返答した」と上級廷臣は話している。ちなみに新聞「ガーディアン」によるとノーベル平和賞はその人物の死後には贈られない。
実際、イギリスの政治家たちからは女王にノーベル平和賞を望む声が根強く上がっていた。2018年には新聞「テレグラフ」が「コモンウェルスへの長年の奉仕が評価されるべきだ」というイギリスの政治家たちの意見を報じている。同紙はある情報筋から証言を獲得、「コモンウェルスの中でも小さい国が主導し、女王を候補に推す案が次回のコモンウェルスの首脳会議の議題になる可能性が高い」と報じていた。「彼らは女王がコモンウェルスのためにしてきたことを評価し、女王を推薦したいと考えている」。 (写真はコモンウェルスの加盟国であるニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(当時)と)
労働党のある議員は女王の授賞を強く支持、同紙に「60年以上にわたってコモンウェルスを存続させ、機能させ続けてきた女王の外交がノーベル賞を授賞する資格がないのなら、授賞できる人はいない」とコメントしていた。とはいえ、コモンウェルスの国の中からは過去の奴隷制や奴隷貿易の責任を英国君主に問う声が上がっているのも事実。平和賞を辞退したのも、コモンウェルスの存続を考えた女王の外交術の1つだったのかもしれない。