小児性愛者のふりをして8歳の少年を救出…性犯罪組織に誘拐された子供たちを救いたい実在の捜査官のドラマ 「サウンド・オブ・フリーダム」を採点!
〈あらすじ〉
アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム(ジム・カヴィーゼル)は、12年間で何百人もの小児性愛者を逮捕してきた。だが、性犯罪組織に誘拐された子供の多くが捜査権の及ばない外国にいるため、彼らを救出できないことを悔やんでいた。 そんな中、ティムは小児性愛者のふりをして8歳の少年ミゲルを救出する。ミゲルはホンジュラスで一緒に誘拐された姉と生き別れになっていた。彼女の救出を誓ったティムは、コロンビアに向かい、現地の警察や資産家、裏社会出身のバンピロ(ビル・キャンプ)らと協力し、大規模なおとり作戦を実行する。
〈解説〉
実在する人物、ティム・バラードの奮闘を基にした社会派ドラマ。『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』のアレハンドロ・モンテベルデ監督作。131分。 中野翠(コラムニスト)★★★☆☆子どもを誘拐して小児性愛者に売りつける。実話にもとづく映画とか。本気で怒りと気味悪さが湧いて来てしまい、困惑。 芝山幹郎(翻訳家)★★☆☆☆陋劣な犯罪を本気で告発したいのだろうが、半端なスリラー仕立ての導入が裏目。冗長で切れが悪く、映像もムード先行型。 斎藤綾子(作家)★★★★★小児性愛の惨さをどう描くのか、性的な場面ではなく犯罪組織の巧みさと恐ろしさだった。寄付を求めるラストにも驚く。 森直人(映画評論家)★★★☆☆メッセージ性が前景化した人道主義の熱作。定番的作風で、『キリング・フィールド』など80年代の社会派映画を想起。 洞口依子(女優)★★☆☆☆最後のエンドロールに至るまでのメッセージの重要性。そこに重心を置きすぎたのか映画的要素から遠のいた気がする。 INFORMATIONアイコンサウンド・オブ・フリーダム(米) 9月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 https://hark3.com/freedom/
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年10月3日号