松尾潔「声あげることを容認する空気を」兵庫県知事パワハラ疑惑めぐり
■声を上げることを国全体で容認する空気を 繰り返しになりますが、ジャッジすることは厳しくしなきゃいけないと思うんですよね。特に公益性が高い話では問われることだし、ましてや地方自治体だとより厳格さが求められるのかもしれませんが、民間でも同じことが言えますよね。 公益通報者保護法が2022年6月に改正されましたが、まだ根付いていない企業が多いそうです。基本的に301人以上の労働者を抱えた事業者は内部通報に適切に対応するための整備義務=体制を整える義務が課されました。 一方、300人以下の場合は努力義務です。「いや、うちの会社300人もいないよ」という声も聞こえてきそうです。となると、やっぱり小さな組織では声を上げにくいのかとなってしまいますが、必要なのは「今ある法律が全て」と思わずに、より我々が声を上げてベターなものに改めていくことだと思うし、時代の足音として、まずは声を上げるということを国全体で容認するような空気を今このタイミングで作っていかないといけません。 鹿児島県警の問題のように、官公庁のことで声を上げると否応なく踏み込まれてしまうということが相次ぐと、ますます物騒な時代に向かっているのかなと思ってしまいます。委縮することなく声を上げていきましょう。 ■声を上げず見過ごすことで得られるものは大きくない 公益通報の通報先は大きく三つに分けられます。 一つは通報先として一番難しいところですが事業者の内部。次に監督官庁、警察や検察の取り締まり当局。そしてもう一つが、マスコミや消費者団体です。マスコミの中にはもちろん、RKBも含まれますし、このラジオ番組が通報先になるかもしれません。つまりそれくらい、遠い存在ではない、と考えてください。 声を上げてしまうと「あいつは義理人情を欠いている」とかいろいろ言われてしまいます。僕も去年の今頃そうでした。ですが、声を上げずに見過ごすことで得られるものなんて大したことないと思います。見過ごすことは伝統ではなく、悪しき慣習だと思います。我々が変えていきましょう。
RKB毎日放送