自衛隊の災害派遣に課題も 能登半島への”初動1000人”は十分だったのか?【WBS NEWSアングル】
能登半島地震の被災地への自衛隊派遣は、過去の大規模地震のときと比べて規模が小さいのではないかとの指摘があります。救援活動や支援物資の輸送が十分に進まない背景には、能登半島という地形も関係しているようです。今回の災害派遣にはどんな課題があるのか。 元自衛隊・制服組トップを直撃しました。 2024年の元日に起きた、今回の能登半島地震。救助活動や支援物資の輸送が十分に進んでいない大きな原因が、被災地へのアクセスの困難さです。1月10日現在、被害が大きい輪島市や珠洲市に向かう幹線道路は、1本ずつしかない状態です。さらに能登半島をぐるりと囲むように走り、「能登の大動脈」と呼ばれる国道249号も、未だに多くの場所で土砂崩れなどで通行ができない状態が続いています。 では、「空路」はどうでしょうか?被災地に最も近い空港が能登空港ですが、滑走路には長さ10メートルほどの亀裂がいくつも入っていて、現状では自衛隊のヘリなどしか使えません。 被災地がまさに「陸の孤島」となる中で、期待されているのが、陸・海・空で活動ができる自衛隊です。 自衛隊は現在、陸上自衛隊の小規模な部隊が火災現場の捜索や孤立集落の救援に向かったり、沖合の護衛艦から発進した海上自衛隊のエアクッション艇が陸地まで重機を運んだり、水や食料、入浴などの生活支援から、消防や警察などの救援部隊の輸送を担当したりと、幅広い活動を行っています。 被災地周辺には輸送艦など艦艇9隻、航空機など41機が投入されています(1月10日現在)。そして自衛隊員も、当初の1000人体制から徐々に増やされ、10日までに6300人を現地に投入しています。ただ、その規模については、本震の翌日に2万4000人体制を構築した2016年の熊本地震や、最大で10万人規模を投入した2011年の東日本大震災に比べると、少ないようにも見えます。 実際、規模が不十分という指摘も出ています。野党・立憲民主党の泉代表からは「逐次投入になっていて対応が遅い」という批判があるほか、災害の専門家からも「救援体制が機能していない」という指摘が出ています。 これらの批判に対して、木原防衛大臣は、「能登半島という特性、半島の中でも特に先端部分、北部における被害状況が大きいこと。特に道路が寸断されているところが非常に多かった」と反論しています。 政府は今回の自衛隊の投入規模は被災地の特性上適切だとした上で、今後も被災地に送る隊員の数を、さらに増やしていく方針を示したいます。