3Dプリンターで「鹿頭」 郷土芸能継承後押し 花巻・小彌太が新事業
染色業で祭りや神社の幕物、郷土芸能の衣装などを手掛ける花巻市愛宕町の製造業小彌太(小瀬川弘樹代表取締役)は、3Dスキャナーと3Dプリンターを用いて鹿踊(ししおどり)の踊り手が身に着ける「鹿頭」を製作する新規事業を開始した。高齢化で鹿頭の作り手不足が懸念される中、鹿踊団体ごとに異なる鹿頭の意匠を再現することができ、製作にかかる期間やコストの低減なども期待される。 3Dプリンターで造形し漆が塗られた鹿頭 鹿頭は木材のブロックから掘り上げた鹿を模した被り物。鹿踊団体によって意匠が異なることから、一般的に団体の職人が手掛けたり、大工などに依頼して製作したりすることが多く、担い手の高齢化により作り手が不足しているのが課題となっている。 新事業では3Dスキャナーで既存の鹿頭を三次元データ化し、3Dプリンターで造形物として出力する。従来の工程だと完成まで4日から1週間ほどかかるが、40~50時間程度で仕上げることができ、踊り手の年代や頭の大きさに合わせて調整することも可能。カーボンファイバー素材で木材に比べ半分ぐらいの重さで、強度が高くぶつけても欠けにくいという。