【緒方耕一】2年後のWBC連覇見据え、右打者で遊撃の紅林の存在貴重 気になった坂倉のリード
<ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12:侍ジャパン6-3韓国>◇15日◇台北ドーム 勝敗を度外視すると、プレミア12の最大の注目点は「WBCに向けての準備」になると思う。大谷を含め、メジャーリーガーが不在。ヤクルト村上、巨人岡本和、ソフトバンク山川、近藤ら長打力のある打者も出場していない。そんな中、2年後に控えたWBCをどう戦うか? 個人的に注目したのは、2試合連続でスタメン起用された紅林だった。 井端監督の期待の大きさが分かる起用法だった。前回のWBCでショートを任された源田はスタメンから外れ、2試合連続でベンチスタート。源田は年齢的にもWBCを迎える時には33歳。失礼な言い方で申し訳ないが、年齢的に大きな上がり目は考えにくい。 その点、紅林は24歳になり、日本を代表する遊撃手に成長している可能性がある。他にも広島矢野、巨人門脇、ドラフト1位で楽天に入団する宗山ら有望な若手遊撃手はいる。しかし源田を含め、すべての選手が左打ち。侍ジャパンのレギュラー選手を考えると左打者が多く、右打者の紅林は貴重な存在になると思う。 今試合でも1点をリードされた2回2死二、三塁、2ストライクに追い込まれてからの6球目、低めの真っすぐをレフト前に逆転タイムリー。4回2死からの2打席目は、カウント1-1からのスライダーを逆方向におっつけるようにライト前にはじき返した。広角に打てる持ち味を発揮していた。 今後の注意点もある。5回1死二塁から韓国に三盗を決められた。二塁走者は俊足の2番打者であり、投手は左腕の隅田だった。三盗は最大限のケアが必要で、ショートの紅林が投手の隅田に三盗をケアするように声をかけたり、ジェスチャーで伝えたりしていれば走者はけん制を警戒して走れなかったと思う。三盗はショートを守る選手の責任は大きい。寡黙なタイプに見えるが、ショートは内野のキャプテン的な役割があるだけに、もっとアクションを起こしてチームを引っ張る意識を持ってほしい。 他に気になったのは、捕手の坂倉のリード。韓国は真っすぐに強い打者が多いが、先発した高橋はスプリットが軸球で、真っすぐの比率は3割2分ぐらいになっていた。8奪三振のうち7個をスプリットで仕留めたが、その分、苦し紛れに投げた真っすぐを痛打された。変化球が多すぎてタイミングが慣れてしまったために、変化球を拾われて長打にされた失点が多かった。 高橋を代表するように、日本は本格派の投手が多い。狙い球をかわすより、投手の持ち味を発揮させるリードの方が合っていると思う。 世界的に見ても日本は層も厚く、どんな大会でも優勝候補になる実力はある。その分、プレッシャーは大きくなるが、日本野球の人気を上げるためにもレベルの高さを証明してほしい。(日刊スポーツ評論家)