ブラックロックのETF申請でイーサリアムが7カ月ぶり高値──アルトコインは下落
世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がイーサリアムETF(上場投資信託)上場の基盤を固めたため、9日の投資家の注目はイーサリアム(ETH)からビットコイン(BTC)に移った。
イーサリアムETFのための法人登録
「iShares Ethereum Trust」という法人がデラウェア州(多くの米企業の法律上の本社)で登録されていたことが提出書類で明らかになったことを受け、イーサリアムは米国時間の午前に1900ドル(約28万5000円、1ドル150円換算)を下回る水準から2000ドルを超えるまでに急騰した。同様のことが6月にブラックロックの「iShares Bitcoin Trust」でも起きており、歴史は繰り返された。「iShares Bitcoin Trust」のデラウェア州での登録は実際のETF申請の直前に行われていた。 デラウェア州での申請から数時間後、ナスダックの申請書類で、ブラックロックのイーサリアムETFの計画が確認された。 ビットコインは、早朝のブラックロックのイーサリアム関連のニュースを手がかりとしたショートスクイーズで一時的に約3万5000ドル(約525万円)の水準から3万8000ドル手前まで急騰し、18カ月ぶりの高値を更新。その後は急激に反落し、約3万6300ドルまで下落した。 過去24時間でイーサリアムは10%上昇、ビットコインは3%上昇した。
XRP、ドージコイン等のアルトコインは急落
イーサリアムとビットコインが強さを見せた一方、アルトコインのほとんどはこの日下落。小規模な暗号資産への資本移動が止まったようで、過去数日間の上げ幅を縮小している。 エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、ユニスワップ(UNI)、ステラルーメン(XLM)は6%~7%下落。過去1週間で20%以上上昇していたトンコイン(TON)は10%下落した。 イーサリアムのリキッドステーキングの主要プラットフォームのガバナンストークンはアルトコイン急落の影響を受けず、リドダオ(LDO)とロケットプール(RPL)はそれぞれ18%、23%上昇した。 ビットコインとイーサリアムという時価総額トップ2の暗号資産とその他の暗号資産との間の乖離は、CoinDesk Market Index(CMI)のセクター別パフォーマンスに現れている。他の暗号資産セクターが急落する中、イーサリアムの割合が高いスマートコントラクトプラットフォームセクターとビットコイン主導の通貨セクターのみがこの日上昇を記録した。 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が必要であれば利上げも辞さないと発言し、よりハト派的な金融政策への期待に冷や水を浴びせたことを受けて伝統的金融商品の市場は全般リスクオフ。これがアルトコインの下落に拍車をかけた可能性がある。 米国株は総じて下落し、連続上昇の記録が止まった。S&P500とナスダック総合指数は1%近く下落した。